2010年1月1日 外国語教育はどこまで科学的に証明されているか 外国語の教授法は現代言語学とその背後にある哲学の変遷に深く関わっている。大人の英語講座では三つの段階をへて学んでいく。音声から文法、そして読解つまりは意味。これは現代言語学が人間の言語活動の仕組みを明らかにしてきた流れと一致している。構造言語学から生成文法へ、そして認知言語学という流れだ。現在ピッツバーグ大学言語学科教授で言語習得論の専門家である白井恭弘氏が『外国語学習の科学:第二言語習得論とは何か』『外国語学習に成功する人、しない人』でこのあたりをまとめながら、どのように外国語を学んでいけばいいかを科学的に説明しているので、パラフレーズして紹介しておきたい。 あと奥出直人のジャズ的生活のblog ”55歳から3カ国語を学ぶ”で白井氏の本を読むまでの段階のまとめをしているので紹介しておく。また繰り返しになるがこのblogから
本書は,ユニークな一次史料に基づいた厳密な歴史分析と,経済社会において人々の行動を動機づけるさまざまな誘因(インセンティヴ)を数理的に分析するゲーム理論を統合する画期的な試みである. 1989年の経済学界は,ノースウェスタン大学出身の若い研究者が書いた博士論文の話題で持ちきりであった.経済学の博士号のほかに歴史学の修士号をも合わせ持つこの研究者は,カイロ旧市街のゲニーザと呼ばれる驚くべき文書貯蔵庫から発掘された膨大なヘブライ語書簡を丹念に読み解き,11世紀の地中海遠隔地貿易に従事したユダヤ人貿易商が,ゲーム理論の数理モデルから導かれる「評判メカニズム」「くり返しゲームのトリガー戦略」を使って協調を達成していたことを明らかにしたというのである.この若き研究者こそが,本書の著者であるアブナー・グライフであり,その博士論文とその後の研究の進展は,経済史のみならず,経済学一般や政治学における制度と
先の総選挙は、日本政治における歴史的選挙となるだろう。投票によって政権交代が起こるという経験を持つことは、民主主義の発展にとって重要なことである。 「民主主義」と書いたが、そもそも、それは何だろうか。一つの答えは、「投票して多数決で決めること」である。その典型は選挙だ。これを「集計民主主義」と呼ぶ。もしも集計民主主義がなければ、特定の少数者または単独者の意思に黙って従わねばならない。投票は面倒だと思っている人でも、独裁者にすべて任せておきたいとは思わないはずだ。 しかし、近年の民主主義研究では、集計民主主義の問題点が指摘されている。理由の一つは多数決の限界である。3人で昼食に行く時、各自の第1希望がハンバーガー、寿司、フランス料理で、かつ、第2・第3希望の順序も異なるとすると、多数決では決められない。いわゆる「投票サイクル」である。あるいは、総選挙以前の「ねじれ国会」を想起してもよい。
「ネグリは〈生権力〉と〈生政治〉という近年の鍵概念をフーコーに負っている。しかしその事実を超えたところで、これら二概念の意味がネグリとフーコーで大きく異なっていることはそれほど知られていない」*1と指摘する箱田徹は、両者の生権力論の違いについて2つほど言及している。 まず、一つ目について、箱田は次のように述べている。 フーコーによれば〈生政治〉とは、ある領域(ウェストファリア体制以後の主権国家とほぼ同義)の内部で生活する人々を〈住民〉(=人口)として集合的に把握した上で、そこで生じる健康・衛星・出生率・寿命・人種といった生物学的・病理学的現象を問題化し、それに応じる国家の統治理性のあり方を指す。・・・・・・したがってこの意味での生政治は、ネグリが論じる、ポスト・フォーディズム体制下での労働時間と非労働時間の区別の消失、傾向としての非物質的労働の台頭といった事柄は含まれない。フーコーの生政治
文化系トークラジオ『Life』 2009/08/16 「Life 政策審議会」 以前から発言に注目している樋口明彦氏が出ておられて、4時間ほどある podcast をすべて聴きました。 番組のテーマは、「私たちは、そもそも何を望んでいるのか。それを実現するには、どういう政策を求めればいいか」。 選挙直前の放送だったせいもあると思いますが、シニカルさよりも、意思決定にかかわろうとする意欲が前提であり、雇用やベーシックインカムをめぐる具体的な議論になっていました。 『朝まで生テレビ』より前に、こちらで盛り上がっていたとは。 ただ、私がどうしても気になるのが、そこで設定された《つながりのありかた》です。 誰のためのどんな政策なのか、というのは、「誰と誰が、どんな理由でつながるのか」でもあります。 経済学者の飯田泰之氏は、「同世代で団結しなければ」というのですが、それは「世代間の利害対立のため」で
まだ、前のエントリーが途中だが。なんか頭の固い司書の古い図書館学を懐かしんでいるのが、単なる私情で今のネットが嫌いだと書いているだけで、全然性的な話に進んでいかないなあ。 日本語について語られる状況についての私憤を先日書いたところ、何故かブックマークが(私にしては)一杯ついていてビックリしている。こんなブログなんか読まなくていいのに。dlitさんのところの学識と良識に満ちたエントリーをこそ是非にも読んでほしいものだ。 その、珍しいブックマーク関連で、こんな記事http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/6f7cc3b6a4b704e7b9573f8812f4d5e1を見つけた。多くのコメントとブックマークが付いている。私はルサンチマンを抱くべきだろう。そして、これを機に、電波なことを書いて、人々にこのブログの信用性を落とさせるべきではないだろうか。 私は池田信夫と
量化と受身 飯田 隆 1 全称と総称 論理学を勉強するひとはまず、論理学のための標準言語である「一階述語 論理の言語」と呼ばれる言語の使い方を学ばなければならない。この言語で さまざまな事柄が表現できるようにならなくてはならない。いわば、論理学 の言語で作文が自由にできるのが理想である。しかし、論理学の言語は、英 語や中国語のような自然言語と違って、その表現力にさまざまな限界がある。 それでも、標準言語を拡張することによって、そうした限界の多くは克服可 能である。このことを知らないと、論理学の標準言語だけではもともと表現 できないことを、無理やりその中で表現しようとする誤りを犯すことになる。 こうした誤りは、しばしば、二重の誤解あるいは無知に基づいている。一方 には、論理学の標準言語が本来どのような言語であるかについての誤解ある いは無知があり、もう一方には、自分が表現しようとしている事
2009年7月13日から22日にかけて、メルボルン大学応用哲学・公共倫理センター(Centre for Applied Philosophy and Public Ethics; CAPPE)のニール・リーヴィ(Neil Levy)氏を迎えて、一般講演を含め全6回にわたる連続講演が開催された。 ここでは、若手研究員による各講演会の報告に先立ち、リーヴィ氏の研究業績を紹介するとともに、今回の連続講演の経緯と全体に関する所感をごく簡単に記しておきたい。 リーヴィ氏は、サルトルやフーコーといったフランス哲学者の研究に出自をもちつつ、心の哲学や行為論に関する業績を含め、規範倫理学やメタ倫理学、応用倫理学といった諸分野において矢継ぎ早に目覚ましい業績を挙げている、新進気鋭の分析哲学者である(文末の著作リストを参照)。また、脳神経倫理学の分野においては若手ながら主導的な地位を占めており、当該分野におい
行動経済学研究の第一人者であるリチャード・セイラー米シカゴ大学ブース経営大学院特別招聘教授が、現在米オバマ大統領の法律顧問を務める法学者キャス・サンスティーン米シカゴ大学法科大学院教授との共著『Nudge』の翻訳本、『実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択』を出版した。 日本でも『セイラー教授の行動経済学入門(原題:The Winner's Curse)』の著者として知られている。伝統的な経済学で想定する、常に合理的で最適な選択をする「人」について「人類ではない、言わばイーコン類だ」とバッサリ斬り捨てる。 来日したセイラー教授に、政策における行動経済学の考え方を生かした制度設計のあり方と従来型のあり方との違いや、人が陥りやすい「自信過剰」を取り除くコツなどについて聞いた。(聞き手は日経ビジネス記者、広野彩子) ―― 今回、来日されて、書家・詩人である故・相田みつをさんの言葉にいたく
2009年10月22日 19:05 動詞を聞くと、体が動く 困った困った。どうやら幼児を対象としたfMRI研究が本格化しそうな気配だ。昨年までは、幼児を対象とした研究は、ERP, NIRS, fMRI, MEG, PETなどの主な手法を通じて、ほとんどなかったのに、この2009年は次から次へと脳の研究が出てくる。 測定手法には一長一短があるとはいえ、fMRIが使えるとなればやはりそちらの方が信頼性が高そうだから、そちらに研究が流れそうで怖い。 さて、内容に入る。認知と行動が関連しているのは当然だが、最近の研究は、単純に見たり聞いたりするだけで体を動かさない場合にも、運動に関連する脳領域が活動することを示している。 最も有名なものはミラーシステムだが、言語と運動の関連も、脳領域が近いこともあり、関心を集めているトピックの一つだ(これもミラーシステムの一種なのか?)。 成人の研究から、動詞を聞
セックス・アンド・デス 生物学の哲学への招待 K.ステレルニー / P.グリフィス著 太田紘史 / 大塚淳 / 田中泉吏 / 中尾央 / 西村正秀 / 藤川直也訳 松本俊吉監修・解題 「セックス・アンド・デス」書籍詳細はこちら ここでは、本書で紙数の都合などのためにやむなく割愛した部分の邦訳を掲載する。これらは担当の訳者がたたき台となる原稿を作成し、それに対して他の共訳者が検討を加え、それに基づいた修正を訳者が再び行うことによって出来上がったものである。したがって、文責は共訳者全員にある。 凡例については本書ixページを参照されたい。また、参考文献は本書のリストにないもののみ掲載してある。当然のことながら、これら割愛部分の内容は本書の他の部分と一緒に読んではじめて十分に理解できるものである。したがって、これらを読む際にはぜひ本書を手元に置いて頂きたい。 最後に、割愛部分のウェブ掲載を許可し
http://www.videonews.com ■マル激トーク・オン・ディマンド 第439回(2009年09月05日) 高速道路無料化のすべての疑問に答えます ゲスト:山崎養世氏(シンクタンク山崎養世事務所代表) <プレビュー> http://www.videonews.com/asx/marugeki_backnumber_pre/marugeki_439_pre.asx いよいよ民主党政権が始動することとなった。実質的に半世紀ぶりの政権交代でもあるので、課題が山積していることは言うまでもないが、まずは何と言っても民主党が公約に掲げた政策を実現し、日本に真の変化をもたらすことができるかどうかに注目が集まっている。 そこで選挙明け最初のマル激では、民主党の目玉政策のひとつである高速道路無料化を取り上げ、無料化の元祖提唱者であるシンクタンク代表の山崎養世氏に、高速道路無料化に対するさまざま
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