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ブックマーク / honz.jp (40)

  • タイトルの割に中身は真摯『誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性』 - HONZ

    2015年、米カリフォルニア州サンバーナーディーノで銃乱射事件が発生した。パキスタン系アメリカ人でありイスラム教徒だった犯人の名前が報じられるやいなや、ネット上はイスラム教徒を殺害せよという書き込みで溢れかえる。 事件の4日後、オバマ大統領(当時)は国民向け演説で「差別を拒むことは、宗派を問わずすべての米国人の責務」と語り、「自由は恐怖に勝ることを忘れないよう」呼びかけた。「タフで冷静」、「恐怖に判断力を曇らせられないよう促した」。人々の良心に語りかけ、受容と寛容の重要性を説いた演説はメディアに称賛された。 しかし、著者らがグーグル検索のデータを分析したところ、異なる実態が浮かび上がってきた。イスラム教徒を「テロリスト」、「悪人」、「暴力的」、「邪悪」などのワードと結びつけた検索が、演説終了後に倍増していたのだ。 書は、グーグルのデータサイエンティストや大学の客員講師などを勤めてきた人物

    タイトルの割に中身は真摯『誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性』 - HONZ
  • 『CRISPR 究極の遺伝子編集技術の発見』ジェニファー・ダウドナが作り出す、新しい科学者像 - HONZ

    『CRISPR(クリスパー)究極の遺伝子編集技術の発見』ジェニファー・ダウドナが作り出す、新しい科学者像 強力なテクノロジーにはイノベーションの機会が二度訪れる。まずは登場したとき、そして次に普及したとき。WEBなど、その最たるものだろう。 インターネットという技術の登場はたしかに大きな変化をもたらしたが、今振り返れば、スマホの普及によって「いつでも、どこでも、誰にでも」使えるようになったことも、同じように大きなインパクトを持つ出来事であった。 書のテーマとなっている「CRISPR(クリスパー)」という技術も、同様の性質を持っていると言えるだろう。「CRISPR-Cas9」という遺伝子編集ツールを用いれば、ゲノムをまるでワープロで文章を編集するようなイメージで、簡単に書き換えることができるのだ。 たとえば科学者はCRISPRを用いて、遺伝子の塩基配列をたった一文字変えるだけで、シュワルツ

    『CRISPR 究極の遺伝子編集技術の発見』ジェニファー・ダウドナが作り出す、新しい科学者像 - HONZ
  • 『デザイナー・ベビー ゲノム編集によって迫られる選択』 デザイナー・ベビーの誕生は避けられない? - HONZ

    ヒトが生殖以外の方法で新たなヒトの命を生み出す、改変するというアイディアは、数千年にわたって人類の想像を掻き立て続けてきた。科学者による理想の人間の創造を目指した『フランケンシュタイン』や遺伝子操作による優生学的な階級社会を舞台とした映画『ガタカ』など、このテーマを扱った作品は数え切れない。これらのフィクションが描き出すディストピアとクローン羊ドリーを誕生させたような分子生物学の急速な進歩は、世間にデザイナー・ベビーの誕生を危惧させるには十分だった。しかしながら、ヒトに対する遺伝子組換えに伴う技術的困難さから、10年ほど前まで多くの科学者はデザイナー・ベビーの実現は「誇大妄想以外の何ものでもないと」考えていた。 ところが、テクノロジーの進歩はときに、科学者の想像力を上回る。CRISPR-Cas9と呼ばれる革新的技術が、生命科学分野の在り様を一変させたのだ。膨大なゲノム中から小さな遺伝子配列

    『デザイナー・ベビー ゲノム編集によって迫られる選択』 デザイナー・ベビーの誕生は避けられない? - HONZ
    dissonance_83
    dissonance_83 2017/09/13
    中国でデザイナーベビー一人目が誕生すると予言する。何故なら民間人においては「子どもの才能の遺伝子診断」なるいかがわしいものが流行っているし、何より研究倫理規制が甘すぎる。ニーズと環境の条件は整っている
  • 『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』 進化認知学、そして「唯一無二の人間」という見方からの脱却 - HONZ

    「動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか」。ずいぶん挑戦的な問いかけであるが、書の内容もそれに負けず劣らず挑戦的である。 フランス・ドゥ・ヴァールは、ベストセラー『チンパンジーの政治学』といった著書もある、世界的に著名な霊長類学者である。そんな彼が書で試みていることはおもにふたつある。ひとつは、彼の提唱する「進化認知学」というアプローチを明らかにすること。そしてもうひとつは、「唯一無二の人間」という見方(ないし偏見)を克服することだ。 第一の点について、象徴的なエピソードから始めよう。テナガザルは樹上性の小型類人猿で、ヒトや大型類人猿とも近縁な存在である。だがそんなテナガザルが、かつて行われた認知テストで意外なほど成績がわるかった。そのテストとは、棒を拾い上げてべ物を引き寄せるという一見単純なものである。では、そんなテストでさえうまくパスできないのだから、テナガザルは「愚か」だというこ

    『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』 進化認知学、そして「唯一無二の人間」という見方からの脱却 - HONZ
  • 『科学が教える、子育て成功への道』21世紀の成績表 - HONZ

    もし、子育ての成功を定義できるのであれば、成功への道があるのならば、それを知りたいと思う人はたくさんいるはずだ。そして書は、子育てにおいて、科学でわかっていることは何か、何を成功として定義して、その成功のために何をすればいいのか、を学習科学・発達心理学の知見を見事に体系化したである。 「子育て」と「成功」という2つの言葉は相性が微妙で共鳴しづらいが、学習科学と発達心理学の第一人者である2人の著者は明確な意図を持って、この挑発的なタイトルを設定している。その意図とは、知識を詰め込めば成功できるという時代遅れの思考回路から教育現場を開放し、新しい考えを広く伝えようとする強い情熱だ。書籍以外にも、ディズニー、レゴ、子供博物館などのコンサルタントを努め、最新の考え方を浸透させる行動をしている。背景にあるのは、アメリカの惨憺たる教育事情である。 世界各地で叫ばれ続けている教育改革、ビジョンや政策

    『科学が教える、子育て成功への道』21世紀の成績表 - HONZ
  • 『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』日常風景に投影された、世界の分断 - HONZ

    先日、新潮ドキュメント賞が発表され、ブレイディみかこさんの『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)の受賞が決定した。この作品を高く評価するのが、文藝春秋で数々の名ノンフィクション作品を送りだしてきた下山 進さん。作の魅力がどういうところにあるのか、特別に寄稿いただいた。(HONZ編集部) 新潮ドキュメント賞を受賞したブレイディみかこ 『子どもたちの階級闘争』を読んだ。素晴らしかった。 300ページで定価2592円って、どれだけ部数を絞ってるんだ? と最初腹立たしく思ったが、読んでみて、このクオリティだったらまったく惜しくない。 1996年にクールな英国に憧れて渡英した筆者は保育士だ。 託児所の日常が描かれるのだが、ここで凄いのは、その日常を子どもたちやその母親、そして保育士たちの世界のドラマで読ませつつ、英国の政治そのもの、のみならず世界のあちこちで起

    『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』日常風景に投影された、世界の分断 - HONZ
  • 『反脆弱性 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方』 ブラック・スワンは予測できないが、備えることはできる - HONZ

    グローバル化の深化に呼応するように、世界の不確実性が増している。大勢の予想に反してトランプ大統領が誕生し、未来永劫続いていくかと思われたシャープや東芝のような大企業までもが突如として存亡の危機に陥り、多くの人が憧れる花の都パリでも悲劇的なテロが発生した。当たり前のものと考えていた日常が、どれほど脆弱なものなのかを思い知らされる。ある日突然襲い掛かる不確実性に、わたしたちは無力なのだろうか。 このは、そんな不確実な世界を生き抜くための知恵を与えてくれる。その知恵とは、より多くのデータを集め、最新のAIを駆使し、より正確に未来を予測することではない。リスク研究の専門家である著者タレブは前著『ブラック・スワン』でも、 「重大で希少な事象のリスクを計算したり、その発生を予測することはできない」と喝破している。1000年に1度の大地震のように稀にしか起こらず致命的に大きな影響を与えるイベントは、予

    『反脆弱性 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方』 ブラック・スワンは予測できないが、備えることはできる - HONZ
  • すべてが調節されている──『セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるか』 - HONZ

    作者:ショーン・B. キャロル 翻訳:高橋 洋 出版社:紀伊國屋書店 発売日:2017-06-15 「果てしなく広がる平原」の意味を持つセレンゲティ国立公園ではキリン、シマウマ、ヌー、ライオン、など様々な動物の群れをみることができる。そして、そこで暮らす動植物たちは普遍的な法則に支配されている。たとえば牛疫が取り除かれヌーの生息数が増加すると、ヌーの主である草は減少する。そうすると今度は乾季に燃える可燃物が減って火災が減少し、樹木が増加し、それを餌とするキリンが増加。また、ヌーの捕者であるライオンやハイエナが増殖する。 つまり、ヌーの個体数が増加したというその一点の変動によって、連鎖的に捕者、樹木、キリンなどなどの他の動植物にまで大きな影響を与え、セレンゲティ国立公園には新たな”均衡”が生まれることになる。書『セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるか』は、そうした生態系にお

    すべてが調節されている──『セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるか』 - HONZ
  • 『成功する人は偶然を味方にする』そのための具体的な手段は存在する - HONZ

    書はコーネル大学の人気教授で、ニューヨーク・タイムズの人気コラムニストでもあるフランク教授の著書ということで、よくありがちなアメリカ的な成功指南書なのかと思って読み始めた。 特に、邦題が『成功する人は偶然を味方にする』となっているので、偶然さえも自分の力でコントロールできるという意味なのかと誤解しそうだが、実際には成功者に自分の成功をもっと謙虚に受け止めるよう諭すと同時に、才能や努力といった個人の力だけではどうにもならない社会的な問題を解決し、幸運な社会を作るための公共政策的な提案を行っている経済学である。 それで改めて原題を見てみると、「Success and Luck : Good Fortune and the Myth of Meritocracy」(成功と運:幸運と実力主義という神話)となっていて、邦題とは微妙にニュアンスが違う。この原題から読み取れるように、著者は成功に至

    『成功する人は偶然を味方にする』そのための具体的な手段は存在する - HONZ
  • 「生物とは何か」を問い直す──『生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像』 - HONZ

    『巨大ウイルスと第4のドメイン』を筆頭に魅力的なウイルス論、入門を書いてきた著者による最新作『生物はウイルスが進化させた』は、「生物」に対する見方を根底から覆す、最新のウイルス研究成果についての一冊だ。多くの野心的な仮説と、確かにそうかもと思わせる検証でぐっと惹きつけ、読み終えた時にはウイルスに対する考え方が大きく変わっていることだろう。 まさにそれによって、「生物とは何か」「ウイルスとは何か」、そして「生物の進化とは何か」を問い直す「コペルニクス的な転回」を余儀なくされる、そんな存在こそが「巨大ウイルス」なのかもしれないのである。 内容的にはいくらか過去作との内容の重複もあるが、ウイルスとは何か、細菌との違いといった基的なところの説明から、従来のウイルス観を覆す巨大ウイルスとは何か、その特異性とは──と話をつなげ、”そもそもウイルスの定義とはどうあるべきなのだろうか”と最終章にてこれま

    「生物とは何か」を問い直す──『生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像』 - HONZ
  • なぜ薬物依存が減らないのか『ドラッグと分断社会アメリカ 神経科学者が語る「依存」の構造』 - HONZ

    薬物依存には大変恐ろしいイメージがある。一度でも手を出せば最後、もはや依存から逃れることは叶わず万難を排して薬を手に入れることに邁進し、捕まってもやめることはできない──。 確かにコカインやマリファナといった薬物には”依存”はある。だが、世間一般に流布しているイメージは科学的に正確とは言い難いものだ。違法薬物による依存とはどのような種類の依存なのか? 依存に陥らない状況もあるのか? という点について、ただ闇雲に恐れるのではなく科学的に検証する必要がある。書は、アメリカの貧しい黒人居住地区で生まれ、幼少─青年時代を”薬物”と身近な日々を過ごした神経科学者による、”正しく怖がる”ための薬物教育の一冊である。 邦題と違い原題は『High Price: A Neuroscientist’s Journey of Self-Discovery That Challenges Everything

    なぜ薬物依存が減らないのか『ドラッグと分断社会アメリカ 神経科学者が語る「依存」の構造』 - HONZ
  • 『進化の教科書 第1巻 進化の歴史』 進化入門の決定版 - HONZ

    ハーバード大学やプリンストン大学をはじめ、全米200以上の大学で採用さている教科書『Evolution: Making Sense of Life』の邦訳3分冊の第1巻である。「教科書」といっても、書は議論の余地のない事実が淡々と積み上げられた退屈なものではない。原著者は『ウイルス・プラネット』等で知られる大人気サイエンスライターのカール・ジンマーと『動物たちの武器』のモンタナ大学教授ダグラス・J・エムレンであることからも分かるように、科学読み物としての楽しさを保ちながら、確かな知識を与えてくれる内容となっているのだ。またAmazon.comでは『Evolution』の価格は12,000円以上と高価だが、この第1巻はフルカラーの図を多く含みながら、1,680円(税別)だというのだから買うしかない。さらに、邦訳者の1人には、『化石の生物学者』の著者であり『ネアンデルタール人は私たちと交配し

    『進化の教科書 第1巻 進化の歴史』 進化入門の決定版 - HONZ
  • 『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条』 一番大事なのはものの考え方 - HONZ

    今年のアメリカ大統領選挙で勝利するのは誰か? 豊洲新市場は来年3月までに開場する? 消費税は2019年10月に10%へ引き上げられるだろうか? わたしたちはそうした事柄について日々自分なりの予測を立てている。「大統領選挙では間違いなくヒラリー・クリントンが勝利するだろうが、豊洲市場の開場にはおそらくもう少し時間がかかるだろう」という具合に。そうした予測がえてして場当たり的で、それほど正確なものでないことは、わたしたち自身もよく承知している。 だがそうだとしても、専門家の場合はどうだろう。それぞれの事柄に精通している専門家であれば、一般人とは比べものにならないほど正確な予測を立てることができるのではないだろうか。 著者のフィリップ・テトロックは、人々の予測について長年調査してきた研究者である。そんな彼をとくに有名にした研究がふたつある。ひとつは「専門家の政治予測」に関するもので、その研究から

    『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条』 一番大事なのはものの考え方 - HONZ
  • 『限りなく完璧に近い人々』北欧の人って本当に幸せなの? - HONZ

    北欧諸国といえば、税金は高いが充実した福祉が存在し、経済は概ね堅調でしかも労働時間が短く、民主的で腐敗の少ない政府を持ち、そのうえ、シンプルでオシャレな家具が溢れる地上の楽園というようなイメージ゙があるのかもしれない。実際に英国にあるレスター大学の心理学部の「人生の幸福度指数」という調査では、デンマーク人が人類でもっとも幸福な国民に選ばれている。2011年に国連が行った世界幸福度レポートでも1位がデンマークで2位がフィンランド。ノルウェーが3位でスウェーデンが7位という結果もある。 HONZでも最近、新メンバーの堀内勉が『フィンランド人が教える当のシンプル』と言うのレビューを書いている。書によればフィンランド人は朝の8時から仕事を始め夕方の4時くらいで仕事を切り上げる。仕事と家族、そして個人の自由な時間とのバランスを大切にしており、夏休みは平均で4週間もあり、多くの国民が田舎にコテー

    『限りなく完璧に近い人々』北欧の人って本当に幸せなの? - HONZ
  • 『生命、エネルギー、進化』この生物学の本にはぶっとんだ! 客員レビュー by ビル・ゲイツ - HONZ

    昨年、私たちの財団でグローバル・ヘルス関連の仕事を手掛けているトレヴァー・マンデルが私に、このを読むよう勧めてくれた。私はそれまで書のことも、著者であるユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのニック・レーンという生物学者についてもまったく知らなかった。数か月後には、私はたんにこのを読み終えていただけでなく、ニックのほかの著書3冊を取り寄せ、うち2冊を読み終わり、ニューヨークで彼と会う手筈を整えていた。 ニックはジャレド・ダイアモンドのような書き手を思い起こさせる。世界について多くを説明する壮大な理論を考え出す人々だ。彼はそんな独創的な思索家のひとりで、あなたにこう言わせる。「この男の仕事についてもっと多くの人が知るべきだ」 ニックの著作は質的には、すべての生きとし生けるものにとってのエネルギーの役割を読者に深く認識させ、科学におけるボタンの掛け違いを正そうとする試みである。『生命、エ

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  • 『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史』 グーテンベルクがインターネットの生みの親? - HONZ

    体重わずか数グラムのハチドリは、ほとんどの鳥が真似することも困難なホバリングをすることができる。空中の定位置に留まるためには、羽を打ち上げるときも打ち下げるときも揚力を発生さるような、回転可能な羽を進化させる必要がある。ハチドリがこの独特なデザインの羽を持つようになったのは、花蜜を吸うためであると考えられる。ホバリングは、花蜜を取り出すために威力を発揮し、ハチドリの小さな身体に十分な栄養をもたらすのだ。 ハチドリの羽の進化を促した花蜜は、顕花植物と昆虫の共進化の産物である。花は花粉を昆虫に運んでもらうために色やにおいを進化させ、昆虫は花からより多くの花粉を取り出して他の花に受粉させるような装備を進化させた。この植物と昆虫の共進化の果てに、高密度なエネルギーをもつ花蜜が生まれ、その花蜜を栄養源とするハチドリへと至ったのだ。 著者は、このようなイノベーションの連鎖を「ハチドリ効果」と呼ぶ。これ

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  • 『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』来るべき未来に備えて正しい理解を - HONZ

    「今、もっともエキサイティングなバイオテクノロジーは何か」。この質問に対し、多くの生命科学者は次のように答えるだろう。「それはゲノム編集だ」、と。書は、ゲノム編集がどのような技術で、この技術がいかに未来を変えうるかについて解説した良書である。 ゲノム編集とは、遺伝子の体であるDNAの狙った位置を切り貼りするなどして「編集」し、その生物のすべての遺伝情報、すなわちゲノムを改変する技術である。ゲノム編集により、有用な農作物の作出や、遺伝性疾患の治療ができるようになると期待されている。ゲノム編集技術のひとつであるCRISPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)システムの確立により、この技術が爆発的に普及するようになった。 これまでに国内で出版されたゲノム編集関連の書籍は研究者向けのものばかりで、一般向けに書かれた入門書のような存在は皆無だった。書は生物学についての専門知識がなくても容易に

    『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』来るべき未来に備えて正しい理解を - HONZ
  • 人生観が、そして人生が変わる 『死すべき定め 死にゆく人に何ができるか』 - HONZ

    人間にとってただ一つ確実なことは、いずれ死ぬということだけだ。しかし、いつ死ぬのか、どのように死ぬのかはわからない。年老いて不自由になった時、不治の病にかかった時、あなたはどのような人生を望むつもりだろう。医学が発達しているからなんとかしてもらえると思っている人がほとんどではないか。しかし、その考えは、このの冒頭にある文章を読んだだけで打ち砕かれる。 わずかな間だだけでも高齢者や終末期の患者と一緒に過ごせば、援助すべき相手に対して医学がどれだけ失敗を犯しているかがわかるだろう 人生の備えとしてこのを読んでおくべきだ。あなたの人生観が変わる。そして、いつか人生そのものが変わる日がくるはずだ。 つい数十年前まで、老人は敬われ、大事にされ、家族の世話で看取られていくのが一般的であった。しかし、高齢化や核家族化により、そのような最期は激減している。そして、老化により自立できなくなった高齢者は、

    人生観が、そして人生が変わる 『死すべき定め 死にゆく人に何ができるか』 - HONZ
  • 『バイエルの謎 日本文化になった教則本』文庫解説 by 最相 葉月 - HONZ

    小学生の頃、同じマンションに住むピアノの先生の家に週に一回、通っていた。自分の家にピアノがないのに習うというのは、今考えるとかなり無謀な挑戦だった。練習に使用したのは、赤い表紙のバイエル教則。正直、つまらなかった。赤を終えると黄色になったが、依然としてつまらなかった。同じことの繰り返しで飽き飽きした。 少し楽しくなってきたのは、父親が電気オルガンを買ってくれてから。発表会に向けて課題曲も決まった。テオドール・エステン作の「人形の夢と目覚め」。静かでゆったりとしたメロディーで始まり、途中から軽やかなテンポに変わる。まさに眠りから覚めた人形が突然踊り出すような可愛らしい曲だった。 転居先の町でも引き続きピアノ教室に通った。だが、私のピアノはここで練習したチェルニー教則で終わる。シャープやフラットの数が増えてわけがわからなくなったためだ。いや、もっと決定的な理由がある。ラジオから流れてきたビ

    『バイエルの謎 日本文化になった教則本』文庫解説 by 最相 葉月 - HONZ
    dissonance_83
    dissonance_83 2016/03/06
    バイエルだけでは楽しくないのはまぁ分かる。ちなみに私が習った先生はバイエルやりつつ別の教本でレベルにあった楽曲、それに加えて楽典と聴音もレッスンでやってくれたので、今思うといい先生にめぐりあったなぁと
  • 『モンスターマザー』長野・丸子実業「いじめ自殺事件」、加害者と被害者が入れ替わるまでの全て - HONZ

    一晩で一気に読み終えたのだが、背中からは嫌な汗が流れていた。とても、他人事ではいられない。こんなことが起こりうるなら、普通に暮らしている人がある日突然、殺人犯に仕立てられても、全然不思議ではないだろう。自分の中で想定していた、世の中に対する前提条件が、もろくも崩れ去っていくような印象すら受けた。 「丸子実業高校バレーボール部員自殺事件」は、2005年にバレー部に所属していた同校1年生の高山裕太君が自殺した事件である。当初、運動部内でのいじめを苦にしていたことが原因とされており、母親はむせび泣きながら学校の対応不備を訴え、その後、母親側の代理人が校長を殺人罪で告訴するまでに至った。 しかし実態は、まるで違ったのである。2008年に長野地裁が下した判決では自殺の要因がいじめであったと認定されず、逆にバレー部から母親側への「精神的苦痛」に対する提訴については全面的に認める判決が下された。 書は

    『モンスターマザー』長野・丸子実業「いじめ自殺事件」、加害者と被害者が入れ替わるまでの全て - HONZ