またこの時期が、この日が、やって来た――と感じる関西人(とりわけ兵庫県人)は多いであろう。私も1月17日は地震のことで頭を乗っ取られたような状態になる。そうか、もう26年になるのか。忘れてしまったこともたくさんあるが、忘れられないことがある。 1995年1月17日午前5時47分。高校1年生であった私は早起きして勉強していたのだが、突然の地鳴りのあと、尻を真下から蹴り上げられるような衝撃を体験した。文字通り身体がいくらか宙に浮いた。私の住んでいた垂水区は、それよりも東に位置する東灘区や灘区や中央区に比べて被害は小さかったのだが、あの朝の揺れを思い出そうと記憶の淵を降りていくと動悸がわずかに激しくなる。トラウマと言うほどではないが、私たちの日常を一瞬で破壊した物理的エネルギーのリアリティに圧倒されるのである。 学校にはしばらく行くことができなかった。私の通っていた長田高校は被害の大きかった地域