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ブックマーク / hachim.hateblo.jp (19)

  • ラッピング名所 - はちまドボク

    ロンドンの象徴とも言えるウエストミンスター宮殿およびビッグ・ベンと呼ばれる時計塔は、現在絶賛大改修工事中。もちろん僕もその事実は知っていた。だからこそ、今回の旅でわざわざ立ち寄ってきた。なにしろ、みんなが知っているガイドブックの写真と同じ眺めではなく、今しか見ることができない歴史アーカイブする瞬間の眺めなのだから。そう、観光名所が改装工事中ってときでも、がっかりすることなど全くなく、むしろ積極的に鑑賞しまくろうね。 最近、そんなモヤモヤした気分になるコラムを書いた。ITコンサルティングを得意とするシンクタンク・みずほ情報総研の企業広報誌「NAVIS」の最新号だ。このバリバリのITテック系ビジネス誌に、なんとも気の抜けた『街角コレクション』という連載記事を担当させていただいたのだ。よくもまあ2年間(通算7号)も通していただけたものだ。その事実だけで素晴らしい会社であるってことがわかるよね。

    ラッピング名所 - はちまドボク
  • 復元された意思 - はちまドボク

    札幌のモエレ沼公園は、彫刻家のイサム・ノグチがマスタープランを行なったことはよく知られている。イサムは1988年3月に初めて札幌に招かれ、まだゴミの埋め立てが行われていた現場を見るなり気に入り、早速仕事に取りかかったらしい。ところが、なんと同年12月に急逝してしまったのだ。常識的に考えると、その時点で計画は頓挫ってことになりそうだけど、奇跡的にイサムの意思は受け継がれて、17年後の2005年にグランドオープンするに至った。 この広大な公園を体験すると、まさに「大地の彫刻」と呼びたくなる、まごうことなきイサム・ノグチ作品ってことが実感できる。人が不在だったにも関わらず、原作がものすごくリアルに実現されているって、当にすごいことだよね。残された関係者は、イサムが残した言葉や図面はもちろん、世界中に散らばっている作品などを手がかりにしながら、設計と施工をじっくり進めたとのこと。まるでクラシッ

    復元された意思 - はちまドボク
  • みっちりジャンクション - はちまドボク

    上海の延安高架路と南北高架路が交差するとてつもなく高密度なジャンクション。名前は少し調べただけでは出てこなかった。中心には龍のレリーフをまとった橋脚が様々な方向に腕を出して、あたかも曲芸のように4層に重なる桁を支持している。どこに目をやればいいのかわからないレベルの逸品だ。 さらにこのジャンクションがすごいのは、鑑賞のための視点場として設えられたかのような円形歩道橋が全周を取り囲んでいること。日が暮れるまで数え切れないくらい何度も回ってしまった。その間にスマホで撮影する人はもちろん、三脚を使って気で写真を撮っている人を多く見かけた。やはり上海の名所なんだな、ここのジャンクションは。 なお、夜までこの場に留まったのは、ブラックライトで重層する桁が怪しく浮かび上がる光景が見られると聞いたので。どうやら毎日やっているわけではないらしく、僕は残念ながら観ることができなかった。いつの日か再挑戦した

    みっちりジャンクション - はちまドボク
  • すごい電線 - はちまドボク

    なんだか今年の冬は寒さが身に染みる。年末進行の忙しさもあって、体力が著しく低下していることを感じてしまう。せめて気持ちだけでも暖かくなろうと、9月のブータン出張時に立ち寄ったバンコクの写真を眺めてみた。 すると、尋常ではない電線の写真が出てきた。ああそうだ、こりゃすごいと興奮しかけたのだけど、あまりの暑さにやられて深追いするのをあっさり断念したんだった。あらためて機会をつくって、電線鑑賞に行きたいな。全面的に地中化しようとする計画もあるらしいので、うかうかしているうちになくなっちゃうかもしれないし。

    すごい電線 - はちまドボク
  • カオスな斜面 - はちまドボク

    鹿児島県にある鶴田ダムによる大鶴湖畔の道路を通っていたら、突然、まるで現実感が無い空間にポンと放り出された気分になった。現地で目の前の風景がVRゴーグルで見たCGなんじゃないかと思ったけど、あらためて写真を見てもやっぱりCGだったんじゃないかと思う。 ちょっと見ただけでも、異なる勾配が多数混在している。さらに、モルタル吹き付け、種子吹き付け、法枠工、ロックボルト工など、多数の工法がパッチワーク的に混在している。道路線形も縦断勾配の変化がとても奇妙に感じた。全体的に時空がゆがんでいる感じ。 なんでこうなったのかはよくわからないけど、地すべりで元の道路が崩壊し、道路の線形を山側に振って再整備したんじゃないかと思う。その際に、様々な土質に合わせた安定勾配で切土し直して、それぞれの斜面を様々な工法で安定させた、と言ったところだろうか。災害時の緊急対応に追われて、破れかぶれに勢いでやったのかなあ。

    カオスな斜面 - はちまドボク
  • あからさまな斜面の強化 - はちまドボク

    鶴田ダム再開発では、新たな放流設備の設置に伴い、堤体下流右岸側の斜面の勾配をググッときつくする掘削工事が行われたとのこと。そこで露出した斜面の安定を図るために、コンクリートによる法枠工に加えて、グラウンドアンカーによってガチガチに固められていた。ちょっと痛々しいほどに。 コンクリートの法枠工はすっかり黒ずんでいるが、鋼製の受圧板は目にもまぶしい白色なので、そのコントラストが顕著に法面のサイボーグ感を高めている。茶色がかったグレーとか、少しでも馴染むものにできなかったのかねえ。上部と下部で受圧板の形状が違うのは、施工のタイミングが違うからなんだろうか。

    あからさまな斜面の強化 - はちまドボク
  • 浮かび上がる骨格 - はちまドボク

    11月24日までに、急いで新宿駅西口広場イベントコーナーに行こう。土木学会「土木コレクション2016」と、東京都建設局「橋と土木展」が同時開催されているので。土木の展示としては王道である「技術を丁寧に伝える」という雰囲気の中で異彩を放っているのが、昭和女子大学の田村研究室が制作した新宿駅模型。そのでかさは尋常ではなく、現場でクラクラしながら「体得」するのが正解だと思う。もちろん土木の魅力の新たな見せ方を試みている「ドボ博」体験コーナーもお忘れなく。 新宿駅模型はホームやコンコースなどの人が歩く公共空間だけが表現されている。通常は見える部分が排除され、通常は見ることができない部分が切り抜かれて可視化されていることで、思わぬ発見がたくさん得られる。 軍事施設のように複雑に重層化する新宿駅体の傍若無人っぷり。その上を平然とぶち抜く甲州街道。都市構造がそのまま反映されている新宿三丁目周辺。歩行空

    浮かび上がる骨格 - はちまドボク
  • 抽象彫刻発電所 - はちまドボク

    ドイツアルプスの麓の街、ケンプテンにある2010年に竣工した水力発電所を見に行ってきた。地元の建築設計事務所のベッカー・アーキテクトの設計。たいへんありがたいことに、ケンプテンに住む友人の取り計らいで、施設のガイドツアーにも参加させていただくことができた。 発電施設とは思えない、見られることを強く意識した装い。粗いテクスチャーを持つコンクリートのカバーは、各種施設を有機的な造形でつないでいる。外側の見た目だけでなく、見学者のテンションを高める内部空間も手が込んでいる。 造形コンセプトは、水流によって磨かれた岩とのこと。なるほど、全体のフォルムからディテールやテクスチャーに至るまで、しっかりコントロールされている。そして意外なほど、周辺景観にもマッチしている。 しかし、施設の基的な配置は水力発電のための技術要件で決定する部分が多いので、表層に造形物の上物をかぶせたに過ぎないのでは、という第

    抽象彫刻発電所 - はちまドボク
  • スイスダムツアー - はちまドボク

    ツアーは中止となりました。。。残念!!(追記:6月30日)】 お知らせのタイミングが少し遅くなってしまったが、素晴らしいツアーが行われようとしている。その名もずばり、『スイスダムツアー(JTBのチラシのpdf)』だ。もちろん監修は『ヨーロッパのドボクを見に行こう』でスイスのダムの記事(p.86-89)を書いてくださった萩原雅紀さん。なんと、9月2日(金)〜8日(木)の 7日間の全行程を同行されるとのことなので、お得感がすごいね。申込締切は6月29日(水)とちょっと早いので、気をつけよう。 JTB店舗ニュース:ダム愛好家に贈る!「スイスの厳選ダム6ヶ所を巡る5泊7日の旅」はこちら!! 旅行ガイドブックの拙著に寄稿してくださった内容が実際の旅行企画として実現すると思うと、ゾクゾクする。僕としては、今年のお正月に『ヨーロッパのドボクを見に行こうツアー』をテロの影響で催行できなかったので、なお

    スイスダムツアー - はちまドボク
  • 講演会雑感 - はちまドボク

    先週の土曜日は、写真家の柴田敏雄氏と構造デザイナーのローラン・ネイ氏の対談講演会を聴講した。品川のキヤノンギャラリーで開催されていた写真展「Bridge」に関連したものだ。 講演の内容から察するに、柴田氏は請け負い仕事を滅多にしないようだけど、ネイの依頼は撮った写真をどうするのかの計画はない」という面白そうなものだったので、引き受けたとのこと。ネイとしては、人工景観をモチーフにしてきた一流の写真家が、自分の造形物をどのように切り取るのかということに、強い興味があったことが伺える。 柴田氏の撮影スタイルは、車を運転していて気になった風景を一期一会のように撮るというもので、今回のように同じ被写体にじっくり向き合って何度も訪問するということはあまりないという。実際の橋を何度も体験し、ネイ人からの解説を聞いて撮っているようなので、結果的に設計の重要なポイントが、的確に写真におさまっている。なんと

    講演会雑感 - はちまドボク
  • 写真家と構造デザイナー - はちまドボク

    先日、品川で行われている柴田敏雄の写真展「Bridge」に行ってきた。被写体は、このブログでもたびたび取り上げているローラン・ネイが手がけた橋梁だ。当に素晴らしい写真展なので、みんな行ったらいいと思う。 以前から個人的に、ネイの橋は写真に撮りにくいという印象を持っている。そうは言っても気になって仕方がない魅力があるので、これまでたくさんの橋を実際に見に行った。だからこそ、あの柴田敏雄氏がどのように撮るのか、とても興味があった。もともとファンとして写真集を3冊持っているし。そして、期待を超える感激を味わった。 感激ポイントは、ものすごく練られた「光と影の扱い」と「平面構成」にあると思った。写真をやる人にとっては基事項かもしれないが、その見極め方は研ぎ澄まされているように感じた。そしてそれは、ネイの橋が持っている造形面での魅力にピタリと重なる。写真家の仕事を通じて、構造デザイナーの造形と構

    写真家と構造デザイナー - はちまドボク
  • 川の流れ - はちまドボク

    ハフィントンポストに「なぜ川は、曲がって流れているの?アニメで解説【動画】」という興味深い記事があった。川が蛇行するメカニズムをわかりやすく解説している動画の紹介記事だ。 この動画を見て、今年の正月にシベリア上空で見た川を思い出した。ぐねぐねに蛇行しまくり、あちこちに三日月湖を産み落とし散らしている川だ。川面が凍結しているらしく、夕暮れの光の中で地球上とは思えない不思議な地形が浮かび上がっていた。 スキポール空港に向かう飛行機の中で毛布をかぶりながらムキになって撮影した写真を、広大なシベリアの大地に絶望しつつもムキになってグーグルマップの航空写真と照らし合わせて、ようやく場所を特定することができた。それはなんと、Vilyui (Вилюй) 川とその支流のChybyda (чыбыда) 川だ!! まあ、現地に降り立つ気などはさらさらなく、こんなことを調べてもなんの役にも立たないわけだが、

    川の流れ - はちまドボク
  • 世界一高い橋ができるまで - はちまドボク

    ミヨー橋はスーパースケール感やその姿のかっこよさもさることながら、建設方法も笑えるほどすごい。とんでもないスケールで桁を送り出し架設したり、横にした主塔を台車で運んで橋脚の位置でくるりと立てるというアクロバットをしたり。という話はとっくに書いておいたと思っていたのだけど、まだだったようだ。 とにかくいろいろすごいので、とりあえず下に貼ったCGアニメーションをご覧いただきたい。だいたいどんだけ現実離れしているかを分かった後で、さらにその下に連続して貼ったナショナルジオグラフィックによる実写の動画を見ると涙が出るほど感激するよ。 この番組、当に良く出来ている。映像はきれいだし構成も内容もしっかりしている。ミヨー橋の役割から構造や架設まで、広範囲にわたってかなり理解できると思う。ビルロージュやフォスターもばっちり出てるし。もちろん、雲の上にかかるミヨー橋もたっぷり登場するよ。 Millau V

    世界一高い橋ができるまで - はちまドボク
  • フーチング - はちまドボク

    ダムの堤体を地盤に定着させる部分を「フーチング」と呼ぶ。その多くは階段状になっており、堤体のマッシブなコンクリート面や岩盤の有機的なテクスチャーとのコントラストが面白く、個人的にはとても好きな部位のひとつである。 橋脚や擁壁などでも基礎の地盤に接する底版部を「フーチング」と呼ぶので、その名称にはなんの違和感もなかったはずなんだけど、字面をじっくり眺めていると、まるでゲシュタルト崩壊を起こしたかのようにどんどん意味がわからなくなってきた。「フーチング」ってなによ、ちょっとかわいらしい響きじゃないか、でもその姿はぜんぜんかわいらしくないぞ、つまりロシアの「プーチン」みたいなもんか。 そこでググってみたところ、スペルは「footing」、つまり「足-ing」ということで、結構単純な話だった。でも「フッティング」じゃないんだね。

    フーチング - はちまドボク
  • 締めくくりの展示作品 - はちまドボク

    東京都現代美術館の地下駐車場がかっこよかった。様々な現代アートをたっぷり鑑賞した後にこの空間を体験すると、ある種の高揚感が得られるよ。断熱材で覆われた空調ダクトのまるでザハ建築のようなスピード感と、キリッとした駐車升の整列感の対比なんて、心にグサッとくる。

    締めくくりの展示作品 - はちまドボク
  • 谷を守るトンネル - はちまドボク

    9月に再訪した立山カルデラでは、昨年行くことができなかった白岩砂防堰堤右岸側の岩盤を補強する対策工を見学させていただいた。これがまたすごかった。行き止まりのトンネルと、その壁面にボツボツ突き出したアンカーヘッドが生み出す、あまりにも迫力のある異質な眺めにびっくりした。 立山砂防の要をなす岩盤の表層部が少々もろくなってきたために、崩壊を引き起こす前に補強する必要があったが、急峻な崖の表面を工事するにはそのあまりにも困難だった。そこで、わざわざ岩盤の裏側にトンネルを掘り、外側に向けてアンカーとケーブルボルトを打ち込んで、表層を引っ張ることにしたのだという。アンカーの定着部はセメントミルクが表面に露出して白岩砂防堰堤周辺の景観を変えないように工夫されているのだそうな。 ここまでやるのかというほどのスケール。立山砂防の気が、ここにも現れている。トンネルの断面がやたらと大きい理由を訪ねてみると、ア

    谷を守るトンネル - はちまドボク
  • 『ヨーロッパのドボクを見に行こう』のリアルツアー!! - はちまドボク

    ツアーは中止となりました!!(11月25日)】 たいへんお待たせしました。ようやくお知らせできる状態になりました。 『ヨーロッパのドボクを見に行こう』に掲載したモデルコースA『南フランス周遊コース』を、当にやりますよ!!近畿日ツーリストさん、どうもありがとう!!日程は2016年1月4日(月)~1月10日(日)の 5泊7日。さあ、早速スケジュールをチェックしよう!! ツアー詳細はこちらからどうぞ:近畿日ツーリスト:ヨーロッパのドボクを見に行こうツアー 巷で話題になっている異色の旅行ガイドブック『ヨーロッパのドボクを見に行こう』に掲載されたモデルコースが早くも実現!! 『南フランス周遊コース』でおしゃれでかっこいい土木構造物や建築物をめぐろう!!!! なんと、全行程をインフラツーリズムのエキスパートである著者の八馬智さん(千葉工業大学准教授)が同行して、解説してくれます。一般的なツア

    『ヨーロッパのドボクを見に行こう』のリアルツアー!! - はちまドボク
  • 砂防ランド - はちまドボク

    長野北部方面を訪問する際、休憩がてらチラッと寄り道ができるところを探していたら、新潟県の妙高市に「万内川砂防公園」という情報を見つけたので、なにはともあれ行ってみた。これが予想をはるかに超える素晴らしい場所だった。大正から現在までに整備された数多く(20基前後かな?)の堰堤群を、散策路に沿って一気に体験することができるのである。 もちろん砂防施設なだけに高低差があるので、それなりにたいへんである。こちらはほぼ予備知識なく行ったので、想定していた時間と体力を大幅に超過してしまった。そのつもりで行けば、何の問題もないけどね。さらに上流に行くと、「日影沢床固工群」というこれまた由緒ある砂防施設が見られるらしいのだが、これ以上予定をずらすわけにはいかず、さすがに断念した。(「床固工」を「とこがためこう」と発音させるあたりは、すごく土木っぽいよねえ。) 物の砂防施設がたっぷり堪能できる上に、川の合

    砂防ランド - はちまドボク
  • ヨーロッパのドボクを見に行こう - はちまドボク

    少し気が早いのだけど、あまりにもうれしいので、うっかり告知しちゃいます。 このブログにも多数アップしている欧州ネタをギュギュッとまとめて、6月2日3日に自由国民社より立派な書籍として出版されます。なんとオールカラーの144ページ、税込2,484円。これでもかと言わんばかりに、ハイテンションでホットな情報を大量の写真とともに詰め込んだ、これまでにない旅行です。 対象とした国は、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、スイスの5カ国。加えてモデルコースやドボク旅行のテクニックも。それを大岡寛典さんと内田圭さんのコンビ(大岡寛典事務所)のデザインによって、濃厚かつカッコイイにまとめていただきました。さらに、水門(現在はカワウソ)の佐藤淳一さん、工場の石井哲さん、団地の大山顕さん、ダムの萩原雅紀さんのドボクエンターテイナー四天王に特別寄稿をいただくなど、お得感満載です。 アマゾンではすでに予約の

    ヨーロッパのドボクを見に行こう - はちまドボク
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