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ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (10)

  • 脳でトラウマ記憶がつくられる仕組みの一端、マウス実験で解明

    強い恐怖の体験をいつまでも忘れられない「トラウマ記憶」が脳でつくられる仕組みの一端を解明したと、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)などの共同研究グループが発表した。マウスの動物実験で、恐怖の体験をすると脳の「前頭前野」に新しい神経細胞ネットワークができることを確認。研究成果は心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの難治性精神疾患の治療法研究につながる可能性もあるという。 トラウマ記憶は突然呼び起こされ、フラッシュバックとも呼ばれる。実生活にさまざまな不自由を強いることがある。これまでの研究で大脳皮質の前頭前野が関わり、多くの神経細胞の集団によって保持されていることなどは分かってきた。しかし、脳神経細胞の情報処理ネットワークの構造は複雑でトラウマ記憶ができる詳しいメカニズムは解明されていなかった。 生理学研究所の揚正和准教授、鍋倉淳一所長や大阪大学産業科学研究所の永井健治教授のほ

    脳でトラウマ記憶がつくられる仕組みの一端、マウス実験で解明
  • 元祖スーパースプレッダー「腸チフスのメアリー」が残した教訓

    アイルランド出身の料理人メアリー・マローン。腸チフスが集団発生した際、初めて保菌者と特定された人物だ。メディアはマローンを「腸チフスのメアリー」と呼び、マローンの裁判と強制隔離は世間の注目を集めた。1909年ごろに公開されたこのイラストでは、マローンが頭蓋骨を割ってフライパンに入れている。(CHRONICLE, ALAMY) ジョージ・ソーパーはいわゆる探偵ではなかった。彼は土木技師だったが、公衆衛生の専門家のような存在になっていた。そのため1906年、米国ニューヨーク州ロングアイランドの家主が腸チフスの発生源の追跡に苦労していたとき、ソーパーに声がかかった。その夏、家主はある銀行家の家族と使用人にロングアイランドの家を貸していた。8月後半までに、この家に暮らす11人のうち6人が腸チフスに感染したのだ。 ソーパーは以前、ニューヨーク州の職員として感染症の調査を行っていた。「『エピデミック・

    元祖スーパースプレッダー「腸チフスのメアリー」が残した教訓
  • 新型コロナウイルスに感染するとこうなる

    2020年2月3日、封鎖されている武漢の病院で、回診中に肺のCTスキャン画像を見る医師。(PHOTOGRAPH BY STR/AFP VIA GETTY IMAGES) 中国で猛威を振るっている新型コロナウイルスについては、まだ知られていないことが多い。しかしひとつだけ確実なのは、このウイルスに感染すると、体中に異変が起きるということだ。(参考記事:「新型コロナ、インフルやエボラと比べた危険度は」) SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)のように動物から人間へ感染した過去のコロナウイルスは、通常の風邪ウイルスとは違い、多くの臓器に広がって様々な症状を引き起こした。今回の新型ウイルスも例外ではない。(参考記事:「MERSワクチン、開発が進まない理由」) わずか1カ月あまりで2000人以上の死者を出したのはそのせいだ。致死率はSARSの5分の1程度のようだが、死者数は既

    新型コロナウイルスに感染するとこうなる
  • ギャラリー:もはや芸術、ツタンカーメンの曾祖父母のミイラと副葬品 写真9点

    ツタンカーメン王の曾祖父イウヤのミイラ(右)は、古代エジプトの死体防腐処置技術の粋を尽くして作られている。イウヤとそのトゥヤ(左)は、死亡時50~60歳だったとみられる。夫同様、トゥヤは埋葬設備の碑銘から身元が判明した。彼女の名前に加え、王の着付け係、アメン神の歌姫、ミン神のハーレムを取り仕切る婦人といった肩書がヒエログリフで記されていた。(PHOTOGRAPH BY EGYPTIAN MUSEUM OF CAIRO) 「シャブティ」と呼ばれる木製の小像。いずれも高さ約30センチで、死後の世界で被葬者の召使になるとされる。こうした架空の使用人のために、彩色された木で特別な容器も作られた。(PHOTOGRAPH BY KENNETH GARRETT, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE) トゥヤの内臓をミイラのように布で巻いた包みは、金箔を貼った石膏の小さなマスク(右

    ギャラリー:もはや芸術、ツタンカーメンの曾祖父母のミイラと副葬品 写真9点
  • 海水飲めないウミヘビ、水分補給の謎の一端を解明

    コスタリカ、ドゥルセ湾の入口付近の海面で休むセグロウミヘビ。(Photograph by Brooke Bessesen) 多くのセグロウミヘビは、一生を海の中で過ごす。めったに陸には上がらない。上陸したとしても、船を漕ぐパドルのようになった尾と、縦に平たくなった体のせいで這うことが難しく、陸では脆弱だ。猛毒を持つ彼らは、広く世界中の海に生息し、海流に乗りながら水面近くの魚を捕する。(参考記事:「セグロウミヘビ、「漂流」で太平洋を横断か」) 他の爬虫類と同じように、セグロウミヘビも生きるために水を飲まねばならない。しかし、常に海水に囲まれた状態で、一体どうやって喉を潤すのだろうか? 2月7日付けの学術誌「PLOS ONE」に、その謎の一端を解き明かした研究が発表された。(参考記事:「“2つの頭”を持つウミヘビ」) セグロウミヘビはかつて、周囲の海水をそのまま飲むのだと思われていた。「教科

    海水飲めないウミヘビ、水分補給の謎の一端を解明
  • トキソプラズマが人の脳を操る仕組み

    トキソプラズマ症を引き起こす寄生虫トキソプラズマ(緑色)をとらえた透過型電子顕微鏡(TEM)の着色写真。 Image from Moredun Scientific Ltd./Science Source/Photo Researchers チェコの進化生物学者ヤロスラフ・フレグル(Jaroslav Flegr)氏は、大胆な主張によってここ1年ほどメディアの注目を集めている。トキソプラズマというありふれた寄生虫が、われわれの脳を“コントロール”しているというのだ。 トキソプラズマは通常はネコに寄生する。巧みな戦略をとることで知られ、ネコからネコへ感染するのにネズミを媒介とし、寄生したネズミの行動を変化させてネコにべられやすくすることで新たな宿主に乗り移る。 ネコにべられやすくするため、トキソプラズマがネズミに引き起こす行動の変化は、反応時間が遅くなる、無気力になる、危険を恐れなくなると

    トキソプラズマが人の脳を操る仕組み
  • 第5回 なんと生き物の半分近くは寄生虫!?

    の紀伊半島の川で、渓流魚が1年間に得るエネルギーの6割を寄生虫ハリガネムシに行動操作されたカマドウマから得ていたという佐藤さんの研究は、世界的にも大いに評判になった。 というのも、ちょうど寄生虫が生態系にあたえる影響について注目されている最中だったからだ。 「僕が論文を出したのは2011年だったんですが、2008年に科学雑誌のネイチャーに、寄生虫が生態系の中でものすごいバイオマス、生物量を誇ってるっていう論文が出て、注目されました。前にも世界の既知種の半数近くが寄生虫である! という推定結果が出されて、寄生虫が生態系の中で大きな役割を果たしている可能性があるということ自体は言われていたんですが、はじめて量的にも大きな割合を占めることを示したんです。カリフォルニアの塩性湿地などで徹底的に生き物を集めて、その生き物に宿ってる寄生虫を徹底的に掘り起こして重さを計ったら、その湿地にやってくるす

    第5回 なんと生き物の半分近くは寄生虫!?
  • 第4回 なぜ霊長類はまた3色型色覚を獲得したのか

    霊長類は教科書的に言っても、視覚の動物であるというふうに昔から言われている。発達した視覚システムが霊長類の大きな特徴だ、と。 眼球が正面を向いていて立体視ができるとか、視細胞の密度が高くて、空間解像度が高い(デジカメでいうと、画素が多い)とか、さらには3色型色覚。 前回は、魚類の色覚の話で、ゼブラフィッシュは4色型色覚を持つのみならず、水面方向と正面や水底方向で、網膜上に違うセンサーのセットを持っていることを知った。

    第4回 なぜ霊長類はまた3色型色覚を獲得したのか
  • 小鳥が自ら腸を吸収し3日間飛び続けることが判明

    ズグロアメリカムシクイのオス。体重12グラムほどの体で、秋の渡りのシーズンにはノンストップで何千キロも飛び続ける。(Photograph by Robert Royse) 出発前に、まず体重を増やして腸を除去し、3日3晩事も取らず眠ってもいけない。もしそんな旅行があったとしたらどうだろう? ズグロアメリカムシクイは、毎年秋にそれをやってのける。 体重がわずか12グラムしかない極小の渡り鳥ズグロアメリカムシクイは、秋になるとカナダ北東部から南米へ渡って行く。そのルートはこれまで知られていなかったが、3月31日付けの科学誌「Biology Letters」に発表された論文によると、鳥たちは大西洋上空をノンストップで移動していることが明らかになった。 2013年秋の渡りのシーズンに、海上のルートを明らかにするため、生態学者らは軽量の追跡装置を5羽のズグロアメリカムシクイに取り付けた。 マサチュ

    小鳥が自ら腸を吸収し3日間飛び続けることが判明
  • 第1回 ペンギンカメラの衝撃

    水面に浮かぶ黒いドーム状の物体。その向うには、氷山が見える。 南極? と想像がつくものの、それだけでは、何がどうなっているのか疑問符だらけの映像だ。 黒い物体がふいに消えると泡がわきたち、いつの間にか水中が映し出されている。 画面を紡錘形の物体が横切る。それにはしっかりと頭部と呼べるものがついており、顔つきは我々が動物園・水族館、そして写真集・映像などで見慣れたものだ。 ペンギン好きなら一目で見分けるだろう。南極大陸で子育てをするアデリーペンギンだ。 (動画提供:国立極地研究所) まるでこちらを誘うように力強く羽ばたき前を進む。 ──さあ一緒に漁場へ行こうぜ! そんなふうに言っているみたい。 とすると……さきほど見えた、ドーム状物体も……ペンギンの体の一部に見えてくる。 (動画提供:国立極地研究所) 実は、ペンギンの背中に超小型カメラを装着し(つまりペンギンにカメラマンになってもらい)撮影

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