テングザルという奇妙なサルがいる。東南アジア、ボルネオ島の一部にのみ生息する希少な絶滅危惧種(endangered)で、その名が示すとおり、オスは天狗のように大きな鼻をもつ。 しかし、テングザルのオスがなぜ大きな鼻をもつようになったのかはこれまで大きな謎だった。その謎の一端を、中部大学、松田一希准教授らが解き明かし、2月22日付けの科学誌「Science Advances」に論文が掲載された。 論文によると、テングザルでは鼻が大きなオスほど、肉体的に強く、繁殖力も高いという。さらに、1頭のオスと複数のメスからなるハーレムで、より多くのメスを保持していることが明らかになった。 また、鼻が大きいほどある種の鳴き声が低くなることから、声の低さがオスの強さを示す手段になる可能性も示された。オスの大きな鼻は、見た目だけでなく、聴覚的にもメスを魅了する武器となっているのかもしれない。 動物の世界でオス