今の先進国における貧困は、ぼろぼろの服を着て、常にお腹を空かせているような、一目見てわかるようなものではない。だから、「20世紀の野蛮な」人間は、現代の日本に貧困があることがわからないし、信じようとしない。 だが、豊食の時代ではあっても、教育費や土地代などはかつてとは比べ物にならないほど高くなっているし、個人の裁量でお金を稼ぐことも格段に難しくなっている。貧困から抜け出せる見通しがまったく立たなかったり、心労や劣等感が積み重なって鬱になったりしてしまう。このような種類のものが現代の貧困だ。 身体障害者には優しくなれる人も、心を病んでいる人には優しくない。病気は、さんざん悪化して、誰にでもわかるくらいの「病気」として認知されなければ、誰も助けてくれない。往々にして、病気が自分以外の人でもわかるものになるまでに、取り返しのつかないくらい悪化してしまう、または自らそれを望んでしまうという悲しいこ