東日本大震災で出版界も大きな影響を受けた。 配送の遅れによる発売の延期や中止は収束したが、印刷用紙やインクの不足など余波は続いている。一方、「本の力」で被災者を支援する動きも始まった。 印刷資材不足 震災直後、日本出版取次協会のまとめでは雑誌、コミック合わせて約450誌の発売が延期または中止された。今月に入り、宮城県や福島県の浜通り地域への配送も再開し、ほぼ正常化しつつある。 しかし、製紙工場は東北に多く、紙の不足が表面化した。講談社の週刊誌「フライデー」は3月25日号で通常の判型の紙を調達できず、他地域から取り寄せた紙を裁断して使った。岩波書店の「思想」誌や新書、早川書房のハヤカワ・ポケット・ミステリも代替紙で急場をしのいだ。青森県の八戸工場が被災した三菱製紙広報・IR室は「在庫や各社の増産で対応し、当初のパニック状態は解消されたが、不足していることは間違いない」と話す。 インクについて