地域アーカイブ研究を始めたときから,北海道の町立図書館を対象にすることは決めていた。ナショナル・アーカイブと地域アーカイブの思想史的な問題は別に論じることにして,ここでは,地域アーカイブとは当該地域のアイデンティティ形成において一定の役割を果たす機関やメディアなどの仕組みないしその作用と大雑把に定義しておく。ここにはひろくみれば,自治体の役所や商工会,学校,地域メディア,出版,図書館,博物館・資料館,文書館などから,今なら,SNSやブログ,動画プラットフォームなどまでも含むことになる。 とくに図書館活動の観点からは,次の4つのポイントを抑えておく必要がある。もっとも基本的な「地域資料・郷土資料の収集・保存・提供」はもちろん,「自治体行政との関係」は図書館とその行財政上の基盤であることと行政に対するシンクタンク機能を提供するものと考えられる。さらにアーカイブ機能の柱となる「自治体史編纂,歴史