燃料高騰、漁再開に壁=漁師「赤字抱える」−被災地の三陸沿岸 燃料高騰、漁再開に壁=漁師「赤字抱える」−被災地の三陸沿岸 東日本大震災から11日で2カ月がたつが、漁船に使う重油の価格高騰が被災地の漁再開を阻んでいる。被害を免れた船は出漁できる状態だが、燃料高でコストがかさみ、漁に出ても赤字になる可能性が高いためだ。漁業の復興には早期の操業再開が不可欠で、関係者は頭を悩ませている。 全国漁業協同組合連合会(東京)によると、漁船用の重油価格は現在、1キロリットル当たり約8万円。昨夏に比べ3割程度上昇し、漁業者は厳しい状況に直面している。 岩手県陸前高田市の漁師村上正義さん(62)は、茨城県沖でカジキマグロ漁をしている時、地震に遭遇した。海上にいたため船は無傷。いつでも漁に出られる準備は整っているが、「5月は燃料が高くて出漁は無理」と嘆く。6月には漁場が三陸沖に北上し、船の航行距離が短くなるた
大震災の津波で破壊された宮古市港町の宮古漁協造船工場で、復旧に向けたつち音が響き始めた。船をドックに引き揚げるレールの修復などにめどが立った。漁船を壊されて途方に暮れる多くの漁業者から期待が集まる。 津波は最大100トン級までの修理が可能な2基のドックを破壊した。船を揚げ下げするレール(長さ約100メートル、幅約3メートル)が海底で土砂をえぐられ、浮き上がるなどした。船をワイヤで引き揚げる巻き揚げ機や工具類も水をかぶり、電気も復旧していない。2階建て事務所も壊れて使えなくなった。 従業員8人は無事で、漁業者の期待に後押しされて立ち上がった。レールは海底に石を入れて基礎を固め、周辺のがれきの撤去も含めて1カ月もあれば修復できる見通しとなった。巻き揚げ機も今月中には修理を終え、駆動用の発電機も確保できそうだ。エンジンなどの機材の入手もめどが立ち、電気配線業者の協力も取り付けた。現在、従業員らは
県は9日、東日本大震災からの復興を目指す「県復興プラン」を発表した。堤防や漁港など「主要なインフラ(社会基盤)施設は、おおむね2年以内の機能回復を目指す」ことを強調した。 復興プランは▽生活再建▽産業復興▽インフラ復興--の三つの分野が柱。 特に、津波で大きく被災した八戸港は、壊れた防波堤などの完全復旧は「今後3年以内」と遅れるが、荷揚げ施設など物流関係の施設を2年以内に復旧し、港としての機能回復を優先する。八戸市や三沢市の漁港施設も2年以内に復旧。津波で冠水したり土砂が流入した農地は、塩分を取り除く事業を行って1年以内に復旧する方針だという。 実現には国の財政支援が不可欠で、県は「災害復興交付金(仮称)の創設などの財政措置を求めていく」と説明した。【山本佳孝】
JR東日本仙台支社は9日、JR6社と地元自治体がタイアップする大型観光企画「デスティネーションキャンペーン(DC)」の13年4~6月の開催地に、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県を選んだと発表した。 DCは、JRと地元自治体が3カ月間にわたって開催地を集中的にPRし、誘客を図る企画。全国の多数の自治体がJRに開催を要望しているという。同県での開催は08年10~12月以来5年ぶり。13年は同県のほか、他のシーズンで秋田▽広島▽京都が選ばれた。 県庁で会見した里見雅行・同支社長は選定の理由について「東北の復興を願う全国の気持ちにJR6社が賛同した結果」と説明。村井嘉浩知事は「DC決定は観光復興に向けて大きな弾みになり、地域経済の回復にも貢献する」と歓迎した。【宇多川はるか】
県警は9日の県災害対策本部会議で、4月29日から今月8日までのゴールデンウイーク期間中、県内で131体の遺体を収容し、うち約7割ががれきの中から見つかったと報告した。 がれきの撤去が進む中、海中よりもがれきの中から確認されるケースが増えているという。 県警の尾形正人総務部長は「今後も膨大な数の遺体ががれきの中から出てくる可能性がある。がれきと一緒に遺体が撤去されないよう、がれき処理作業と連携しなければならない」と話した。 県警が収容した遺体は8922体(8日午後8時現在)。【宇多川はるか】
南房総市沿岸の多くの漁協でアワビ漁が解禁になり、白浜町の根本漁港でも海女が船で出漁している。 海女は、浜から約10メートル沖合の水深3メートルの岩場などでアワビを採っている。約3時間の漁で16キロを水揚げすることもある。今月2日の解禁日には、浜値で1キロ7000円と昨年並みの値段で取引された。漁は9月10日まで続く。【米川康】
若者の魚離れを食い止めようと、松山三越が県産のちりめんじゃこを素材に使ったパンを開発。 18日の発売開始に向け、県産魚をPRする県の「えひめのおさかな広め隊」に起用された、ご当地アイドルグループ「ひめキュンフルーツ缶」のメンバーが試食し、「ひめころもっちりめん」と〈命名〉した。 同店地下のパン店「ジョアン」が、生地にちりめんじゃことチーズ、大葉を練り込んで焼き上げた。苦手な若者に食べやすいよう、魚と乳製品の癖を大葉の香りでやわらかく包み込んだという。 試食したひめキュンのメンバーは、「もちもちした食感がいい」「ちりめんじゃこをパンにトッピングしては」などと感想を出し合い、ほのかさん(16)が、丸味のある外観や食感からイメージして提案した名称が採用された。
<Sanriku Monogatari> ◇やっぱり海しかねえべ 穏やかな春空が広がった4月16日。岩手県釜石市の波止場に、追悼の太鼓の音が響き渡った。菊池忠彦さん(39)の父親の忠行さん、享年69。遺影を手にした菊池家の家族や漁師仲間が集う中、親類の和太鼓奏者が故人の旅立ちを彩った。 「亡きがらは実家の近くで見つかったのさ。だがら、オレはオヤジは最後は自分の家さ帰ったんだべなって、思ってらのよ」 「じいが大好きな海」には、「鎮魂」と大書した白布を持参し、それぞれが思いを記した。「ガンバルゾ」と菊池さん。妻の貴子さん(39)は「助けてもらった命。じいの分も大切にするからね」とつづった。 その朝、市内の寺院で行われた葬儀はわずか30分で終わった。納骨堂には大量の被災者の遺骨が並び、葬儀は30分刻みで予定が入っていた。 そして、5月1日。菊池さんは釜石から車で30分ほどの大船渡市の仮設住宅の建
トップ > 日刊県民福井から > ふくい地域ニュース > 記事 【ふくい地域】 「大きく育って」 アワビ稚貝放流 2011年5月10日 アワビの稚貝を放流する海女たち=坂井市三国町安島で 三国で嶺北地域栽培漁業推進協 育てる漁業を目指し、嶺北地方沿岸部の4市町と関係漁協でつくる嶺北地域栽培漁業推進協議会は9日、坂井市三国町の海岸で、アワビの稚貝約5万1000個を放流した。10日以降には福井市などの海岸でも放流する。 この日は、三国町にある雄島漁協の米ケ脇(こめがわき)、安島(あんとう)、崎、梶の4支所の海女たちがそれぞれの地元分の放流を担当した。 安島支所では、海女9人が雄島橋付近など2カ所に分かれ、3〜4センチの稚貝を水深1.5メートルほどの海に潜り、「大きく育って」と願いながら、フグなどに食べられないよう岩の下に置いていった。 放流した稚貝は、小浜市の県栽培漁業センターでふ化し、越前町
東日本大震災から明日11日で2カ月を迎える。元タレント気仙沼ちゃんこと白幡美千子さん(56)は、家族4人で力を合わせ、経営する民宿「アインスくりこ」の再開へ向けて懸命に準備を進めている。芸能界からも心配する手紙などが寄せられているが、恩師の萩本欽一(70)には連絡を取っていない。欽ちゃんに会うのは「住んでいる大島が復興して、『くりこ』を再開してから」と心に決めているからだという。 「欽ちゃんの奥さんとは電話で話をしたのさ。でも本人とはまだ。直接会って話をしたいから。でも、今はまだその時期じゃないの」。美千子さんは芸能界の恩人であり、人生の師匠でもある欽ちゃんに会いたい気持ちを封印している。 民宿は海から約100メートル離れた高台にあるが、津波は容赦なく襲いかかった。1階は水没し、約200枚の畳、冷蔵庫、台所用品などが使えなくなった。敷地内には海水が運んだ大きな丸太が何本も流れ込んできた。今
「津波避難ビル」に指定されていた町営住宅。約50人が避難して命をとりとめた=宮城県南三陸町、二階堂写す 全国各地の沿岸部では、津波を想定して住民が緊急に逃げ込むための「津波避難ビル」が指定されている。岩手、宮城、福島の3県にある避難ビルは59。東日本大震災では、このビルに命を救われた住民もいる。内閣府は指定基準の見直しが必要かを検討したうえで、全国的な普及を目指す方針だ。 津波避難ビルは、中央防災会議がまとめた「東南海・南海地震対策大綱」で避難が難しい地域があるとの指摘を受け、内閣府が2005年6月に、指定のガイドラインをまとめた。04年12月にスマトラ沖地震大津波が発生したことで、必要性が高まった。 ガイドラインでは1981年の新耐震基準に適合する鉄筋コンクリート造りで、想定される浸水が2メートルの場合は3階建て以上、3メートルで4階建て以上とされている。市町村がビルの所有者らと協
東日本大震災の影響で代表的な大衆魚のサンマに品薄懸念が強まっている。漁業者団体の全国さんま漁業協会(東京・港)に所属する漁船165隻のうち、三陸を中心とする58隻が損壊などの被害にあった。8月から12月末までのサンマ漁に出られず、今シーズンの漁獲能力は半減する。不漁だった昨年に続き、卸値が上昇する可能性が出てきた。 被災した同協会の58隻中、100トン以上の大型船は43隻と7割以上を占めた。20…
鳴り砂は被害なし 気仙沼・大島の「十八鳴浜」 がれきが散乱する十八鳴浜で、砂が鳴るのを確認する桂調査官(手前)=9日、気仙沼市大島 鳴り砂で知られ、宮城県気仙沼市が国の天然記念物指定を目指している離島・大島の「十八鳴(くぐなり)浜」に9日、文化庁記念物課の桂雄三主任文化財調査官が訪れ、被害状況を調査した。浜は津波に洗われたものの、鳴り砂に被害がないことが分かり、年内の登録に弾みがついた。 桂調査官は、浜の砂の量や面積、質感などが震災前と比べてほとんど変化がないことを確認した。浜には樹木やがれきなど多くの漂流物が打ち上げられていたが、乾いた砂を踏みつけると「キュッ、キュッ」と気持ちの良い音が鳴った。 気仙沼市は1月、十八鳴浜と唐桑半島の付け根に位置する「九九鳴(くくな)き浜」を国の天然物記念物に指定するよう文化庁に求め、早ければ年内に指定を受けられる見込みだった。被害の大きさ次第では登録
災害廃棄物 民有地に仮置き場 気仙沼の農地、県が検討 宮城県が県内5カ所に設置を予定する災害廃棄物の2次仮置き場のうち、気仙沼市では公有地ではなく民有地約100ヘクタールを使用する方向で調整していることが9日、分かった。東松島市では、国指定の特別名勝「松島」の指定地区内にある「県松島自然の家」の敷地約14ヘクタールに設置する。 気仙沼市の仮置き場は農地で、同市と南三陸町の災害廃棄物を集める。公有地を中心に選定を進めたものの、まとまった平地がなく断念した。賃貸料などを地元の水利組合と調整している。 「松島」への開設について、村井嘉浩県知事は9日の記者会見で「文化庁からは許可の内諾を得ている。がれき撤去後には元に戻すことが前提なので、住民は安心してほしい」と話した。 がれき処分を県に委託した名取、岩沼、亘理、山元2市2町分となる仙南地区は、山元町の町有林約100ヘクタールを含む公有地約5
復興アイデア次々と 名取・閖上 住民が「考える会」 避難所で車座になり、復興に向けた意見を語り合う「どうする閖上」のメンバーら=4日、名取市館腰小体育館 東日本大震災で被災し避難所などで暮らす宮城県名取市閖上地区の住民が、復興の青写真づくりに向けた組織を結成し、独自に話し合いを始めた。将来の津波に対する不安や集団移転の要望などについて意見を述べ合うとともに、漁港を核とした産業振興など復興への夢を週1回のペースで語り合い、市の計画づくりに反映させたい考えだ。 結成したのは「どうする閖上」。名取市内の各避難所の代表や地元の商工会、漁協、水産加工組合、小中PTA、町内会の関係者ら十数人で構成される。 4月下旬からこれまでに3回、避難所の一つとなっている館腰小体育館で車座になって会合を重ね、閖上地区の津波防災対策や住宅地形成のあり方、閖上漁港の復活などについて意見を交わした。 会合では「仙台
養殖漁業権、開放を 宮城知事が特区提案へ 復興構想会議 東日本大震災で壊滅的被害を受けた養殖漁業の再生に向け、宮城県が民間参入を促進する「水産業復興特区」の創設を検討していることが9日、分かった。漁協に漁業権を優先的に付与するよう定めた漁業法を緩和し、民間企業も漁業権を得られるようにする。村井嘉浩知事は10日、政府の復興構想会議で特区創設を提案するが、漁協関係者の反発も予想される。 県は、養殖や定置網などの沿岸漁業は個人経営が多く、養殖施設などの自力再生には限界があると判断。早期復興には民間資本の導入が不可欠として漁業権の開放に踏み込むことを決めた。 特区では、民間企業による独自の操業が可能になる。県は、参入企業として(1)地元漁業者が民間資本を得て設立した漁業会社(2)地元漁業者を社員に含む総合商社―を想定。漁業者が安定収入を得るサラリーマン化することで、後継者不足の解消につながると
石巻市が丘陵地造成へ 石巻市は9日、平地が少ない牡鹿半島部分に仮設住宅を建設するため、丘陵地の土地の造成に取りかかることを決めた。給分浜地区の休耕地など5か所程度が対象となる。漁業で生計を立てている被災者が多く、交通手段がないなか、市中心部の仮設住宅に住んで仕事を続けるのは難しいことに配慮した。県は市の造成が終わり次第、現場を確認したうえで住宅建設に着工する。 市を構成する牡鹿半島には1853戸(今年2月末現在)があり、市は9日現在で1200戸分の仮設住宅を建設する予定。だが、半島部分には平地が少なく用地の確保は難航。着工が決まっているのは鮎川小グラウンド(58戸)や牡鹿中駐車場(23戸)など109戸にとどまる。 市は半島の住民に対し、市中心部の仮設住宅に入居するよう促していたが、住民の多くは漁業に従事し、津波で車も失ったため、市中心部から漁港に向かうのは困難との声が大勢だった。このため、
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