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澤藤統一郎の憲法日記 » 「平成の天皇制とは何かー制度と個人のはざまで」を読む。
岩波から今年7月に出た論文集。吉田裕と渡辺治のネームバリューでこの書を手に取る読者が多いのだろう... 岩波から今年7月に出た論文集。吉田裕と渡辺治のネームバリューでこの書を手に取る読者が多いのだろうが、執筆者は総勢9人。若い研究者の見るべき論稿もある。天皇(明仁)の「生前退位希望メッセージ」をめぐる問題だけでなく、「象徴天皇とは何か」「天皇の公的行為をどう考えるべきか」を論じる際のスタンダードを提供するもの。 渡辺治が、「近年の天皇論議の歪みと皇室典範の再検討」と題する30頁の論文を掲載している。さすがに説得力があり熟読に値する。その最後を「天皇制度そのものの廃止は、上記のような憲法のめざす象徴性の構想の実現、典範改正による自由の制限、差別を解消していく方向の徹底を通して以外にあり得ない。それは、とりもなおさず、国民が自らの上に立つ権威への依存を否定し、民主主義と人権の貫徹する社会へ向けて前進する営みにほかならない」と、将来の天皇制の廃止への展望で結んでいることが印象的である。 巻末の座談
2017/11/05 リンク