【レビュー・書評】進撃の巨人 [著]諫山創 - 売れてる本 - ＢＯＯＫ：asahi.com（朝日新聞社）

進撃の巨人 [著]諫山創[評者]佐々木俊尚（ジャーナリスト）[掲載]2011年1月30日著者：諫山 創 出版社：講談社 価格：￥ 440 ■異形との突破口のない戦い お先真っ暗な未来社会を扱うディストピア漫画がブームとなっている。本シリーズはそうしたディストピアものの典型だが、類書とはまったく読後感が異なる。 突然現れた巨人の群れによって人類のほとんどは食い尽くされ、残る少数の人たちは巨大な城壁を何重にも築いて都市を守っている。だが壁を越える超大型の巨人によって外側の壁が壊され、百年以上続いていた平和は崩壊。雪崩を打って入り込んでくる巨人たちとの間で死闘が繰り広げられる。 城郭で守られる都市と、その外に広がる不毛の荒野という中世ヨーロッパ的な光景。巨人と戦う若者たち。彼らの間の友情と裏切り。そして次々と強大化する敵。設定だけを説明すれば、伝統的な少年マンガのモチーフに見える。 だが本作は

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グローバル化する世界に対峙（たいじ）した日本社会の苦痛の暗喩にも思える。この不気味なマンガがミリオンセラーを記録しているのは、その空気感への共感なのかもしれない > 漠たる不安の裏返し。

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”裸の人間と同じ姿形の巨人たちは、まるで銭湯にでも入っている裸のオッサンオバハンの群れのようだ”佐々木俊尚さんの書評