OMAの「通過の空間」とフラヌール（遊歩者） - ホーチミン・シティ便り

OMAの建築においては、すべてが通過点のような空間、すなわち「通過の空間」がつくられていると思います。その傾向は、特に21世紀に完成した建築、在ベルリン・オランダ大使館、カサ・ダ・ムジカ、シアトル公立図書館などに顕著です。しかし、「通過の空間」をつくるという傾向は、70年代からOMAの建築に見られるものです。OMAは変化の激しいオフィスである、とよく言われていますが、「通過の空間」は明らかに30年間を通して一貫して追求されており、注目に値します。以下、図版は基本的にOMAのHPより引用。 「通過の空間」への関心は、1979年のアイルランド首相官邸へのコンペ案（上図）で初めて見られます。ここでは、道路を建築化したような細長いヴォリュームが見られます。首相官邸とステート・ゲスト・ハウスは反目する要求を備えている。官邸においては公私が共存し、相互作用するような真の住宅をデザインすることであり…長