人工知能は死者を蘇らせることができるのか？ 最後の一ページまで目が離せない近未来ミステリ 『虹を待つ彼女』 （逸木裕 著）｜インタビュー・対談｜「別冊文藝春秋」編集部｜本の話WEB

今年の横溝正史ミステリ大賞を受賞した本作は、人工知能（AI）の研究者を主人公に据えた近未来ミステリだ。選考委員会では最後まで読者を魅了し続ける展開、語り口の巧みさなどが評価を受け、圧倒的得票で受賞が決まった。 二〇二〇年の東京、人工知能の研究者・工藤賢（くどうけん）が開発したAIと恋愛できるアプリ「フリクト」は、中毒者が続出。その結果「息子が勉強をしなくなった」など苦情が続々と寄せられ、ついには夫に離婚を迫られたという主婦が工藤のもとに乗り込んでくる騒ぎになっていた。その影響でユーザー数も伸び悩み、新展開を考えなければならない局面で浮上したのが、人工知能で死者の人格を再現し、会話できるようにするサービスだった。人生に倦（う）んでいた工藤は、このプロジェクトに取り組むことで刺激を求めようとするのだが……。 一見、現実離れした設定にも見えるが、小説の世界観を支えているのは、現役プログラマーであ

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