徳川のプライマリーバランス

徳川政権の財政及び農政を担当した向山源太夫誠斎なる人物がいた。 彼は1838（天保９）年に『向山誠斎雑記及雑綴』という書物を編纂した。 1722（享保７）年から1836（天保７）年までの幕府の歳入（納）と歳出（渡）のデータが，米（石：御年貢米其外諸向納渡書付）と貨幣（両：御年貢金其外諸向納渡書付）のそれぞれについて残されている。 新保(1978)は，これら２つを一括して貨幣表示（両）することで幕府の財政支出の時系列データを提示している（水野忠邦が編纂を命じた『貨幣秘録』という文献を使い1837年から1842年までの期間を加えている）。 財政収支について３つのデータ系列（納米/渡米，納金/渡金，そして新保推計による納/渡）ができる。 大雑把に言えば，プライマリー・バランス（基礎的財政収支＝税収 − 一般歳出）を割り算で示したもの。 通常は対GDP比などがとられるところなんだけども…ま，そこは