公共図書館史における戦後民主主義 - 29Lib 分館

石井敦, 前川恒雄『図書館の発見：市民の新しい権利』NHKブックス, NHK出版, 1973. 既に新版が刊行されているが、ここでコメントするのは旧版のほう。二人の著者の正確な分担は明らかではないが、刊行当時の図書館の状況について述べた一・二・六章は前川の担当、日本の図書館史について述べた三～五章は石井の担当だろう。 2008年に著作を読み返してみて引っかかることが多いのは、日本の図書館史の記述の方。そのトーンは、「一般民衆は自由に読書する機会を求めていたが、常に政府の図書館政策は不十分でかつ歪められていたため、これに応えることができなかった」というもの。明治から昭和にかけて、民衆は民間で読書クラブなどを作って図書館への需要を示していたが、一方で公共図書館は、蔵書が不十分で閉架式で課金があるうえに、思想善導などに利用されて、非常に駄目な機関だった、というストーリーになっている。 この本は、

[shomotsubugyo]

「石井の史観は現在の図書館史でもスタンダードだと聞いた」だって日本中の教員がきちんと批判せんのだもの。教科書だって館種別に分担執筆しておわり。川崎良孝も藤野幸雄も絶対に国内のことに言及せんしね(σ^～^)

[min2-fly]

"英米でも公共図書館は支配階級が大衆の教化のために計画した施策であって、日本と大きく異なっているとは言えない"

[wackunnpapa]

僕もこの本について書いたことがあった→ http://jurosodoh.cocolog-nifty.com/memorandum/2006/01/post_e728.html