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“女工哀史”の著者「細井和喜蔵」とその妻 - 耳を洗う
<婿養子に来ていた父が私の生まれぬ先に帰ってしまい、母は七歳のおり水死を遂げ、たった一人の祖母が... <婿養子に来ていた父が私の生まれぬ先に帰ってしまい、母は七歳のおり水死を遂げ、たった一人の祖母がまた十三歳のとき亡くなったので私は尋常五年限り小学校を止(よ)さなければならなかった。そして十三の春、機家(はたや)の小僧になって自活生活に入ったのを振り出しに、大正十二年まで約十五年間、紡績工場の下級な職工をしていた自分を中心として、虐(しいた)げられ蔑(さげ)しまれながらも日々「愛の衣}を織りなして人類をあたたかく育(はぐ)くんでいる日本三百万の女工の生活記録である。地味な書き物だが、およそ衣服を纏(まと)っているものなれば何びともこれを一読する義務がある。そして自らの体を破壊に陥れる犠牲を甘受しつつ、社会の礎(いしずえ)となって黙々と愛の生産にいそしんでいる「人類の母」━彼女たち女工に感謝しなければならない。> 『女工哀史』冒頭の「自序」で著者の細井和喜蔵はこう訴えている。『女工哀史』初版
2014/12/12 リンク