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愛とはなんだかわかりません - うわごと
年配の夫婦が営む古ぼけた喫茶店で夕飯をとる。おじいさんのほうは柔和で、おばあさんのほうは一見きつ... 年配の夫婦が営む古ぼけた喫茶店で夕飯をとる。おじいさんのほうは柔和で、おばあさんのほうは一見きついが、決してやさしくない訳ではない。寒くてかじかんだ手をさすりながら、「すばる」2月号に掲載されていた小山内恵美子『花子と桃子』を読む。とにかく怖くて、いい意味で本当に気味の悪い小説だった。人間の、女の感情の機微の描写がリアルで、何度も血の気が引いた。やがて注文した料理が運ばれてくる。付け合わせのサラダのドレッシングがあまり好きではないが、生の野菜はありがたい。向かいの席には年老いた女性とその娘とみられる中年の女性が座っている。コーヒーを二つオーダーして、飲んでいるのだが、どうやらお母さんのほうは認知症の症状があるらしい。狭い店内で、何度も席を立ってはよろよろとトイレのほうに行き、ドアを開けて何かを確かめている。そのたびに娘さんがたしなめ、店の人に謝っていた。 「なにがそんなに気になるのよ」 「
2020/01/21 リンク