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小説「20160118」 | 鈴木 おさむ | 文藝春秋 電子版
カット・城井文平 原稿を書き進める手を止めて、スマホを覗くとネットに流れてきたニュース。 人気俳優... カット・城井文平 原稿を書き進める手を止めて、スマホを覗くとネットに流れてきたニュース。 人気俳優が事務所から独立するという。ここ数年でよく目にするようになったこの手のこと。長年お世話になった事務所を離れて独立するということは、この芸能界ではずっとタブーと思われているところがあった。昭和だけでなく平成になっても。 だが、令和の扉が開くと、その行動を起こすものに対して、随分とそれは軽くなった気がする。変わったのだ。その変化が起きたのは、「あの放送」があったからじゃないかとふと思ったりする。 テレビ番組が作りたくて作りたくてこの世界に入った自分が。人を笑わすために、そんな番組を作りたくてこの世界に入った自分が、その放送に作り手として参加していた。 沢山の人に涙を流させてしまった「あの放送」に。 今でもずっと胸に刺さっている。 あの日に、僕は放送作家として、終わった。 【2016年 1月18日
2023/10/31 リンク