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〈判断中止・停止〉を意味する哲学用語。古代ギリシアの懐疑論者ピュロンは,さまざまな哲学説の真偽を... 〈判断中止・停止〉を意味する哲学用語。古代ギリシアの懐疑論者ピュロンは,さまざまな哲学説の真偽を判定しようとしたが徒労に終わり,いたずらに苦悩を増すだけであった。それゆえ彼は心の平静を得るべく,判断停止を決意した。デカルトも,一連の探究事項のうちにわれわれの知性が十分に直観しえないものが現れたならば,そこで停止すべきだとした。フッサールは,現象学的還元の対概念として,この語を用いている。現象学の主題の一つは,あらゆる対象的存在者の真の在り方を,認識主観の意識作用との相関関係の中で究明することにある。しかるに通常の自然的-客観的見方によれば,客観的事物は,主観の認識体験を超越して,それとは無関係に独自に存在しているかのようにみなされている。しかし超越的な客観が主観にとっての対象として認識されうるのはなぜか。この疑問の解明を目指す現象学者は,習性化した客観的見方を打破して,自己の意識体験の内在