２４色のペン：誰も知らない児童虐待件数＝黒田阿紗子（くらし科学環境部） | 毎日新聞

夏の終わりから秋ごろになると、新聞の見出しに「児童虐待 過去最多」の文字が並ぶ。毎年この時期に、全国の児童相談所による虐待相談の対応件数が公表される。 2022年度は21万9170件（速報値）。集計が始まってから32年連続で過去最多を更新しているとされてきた。ところが、自治体が正確に報告していないとして数字が訂正され、減る見通しになった。前代未聞の事態だ。 きっかけは、昨年10月の東京新聞の記事だった。児相を持つ都道府県や政令指定都市などの中に、結果的に虐待ではなかった相談も含めて報告している自治体があると報じた。国の記入要領は、相談を受けて調査し、会議で「虐待ではない」と判断したケースを除くよう求めていた。