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母との(おそらく最後の)面会にて。 - 遠近法ノート
「ここらへんにカーテンが見えるんよ」 と言いながら、母は手で空中をつかんでみせる。 ん? 「つかめる... 「ここらへんにカーテンが見えるんよ」 と言いながら、母は手で空中をつかんでみせる。 ん? 「つかめるような気がするんやけど、つかめんのよ」 母はしきりに手を前に伸ばしている。 母さん……もしかしてそれって壁紙錯視*1なんじゃね? モンゴメリ*2の「可愛いエミリー」に出てくるやつ*3。 「ほじゃけど、瞬きしたら消えてしまうんよ。不思議やねえ」 うんうん。壁紙錯視だねこりゃ。 「そこにあるコップも手に持ったと思たけど消えてしもたよ」 …………。 「あの世ゆうたらこんなんやろぅかなぁ……」 母さん……(´;ω;`)ブワッ *1:壁紙錯視とは、要するに立体視である。縦方向のカーテンのひだを長時間見ているうちに眼の輻輳がずれ、3D効果をもたらしたのであろう。 *2:いわずと知れた「赤毛のアン」の作者である。 *3:詳しくは『ステレオ感覚のメディア史』を参照。
2011/07/10 リンク