【ペロブスカイト太陽電池誕生】episode11 プレッシャーとポテンシャル ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

電気化学会・第73回大会での発表を無事に終え、修士課程を終えたら企業の研究者として生きていこうと考えていた小島陽広に対して、大学で研究を続けて欲しいと考えていた宮坂力らは必死の説得を試みる。就職するか、博士課程に進むか。小島が選んだ答えは－。 小島陽広はペロブスカイトの「プレッシャー」と「ポテンシャル」の狭間で揺れていた。 〝博士課程に進むとした場合、卒業のための論文がしっかり書けるだろうか。ペロブスカイトを使った太陽電池という世界で初めての成果かもしれない技術をテーマに執筆し、もし他の研究者が追試できない事例が重なったら先生たちに迷惑をかけてしまう。自分がペロブスカイト太陽電池を公知の技術にするのだろうか。誰かがすでに保証している技術だったら、どれほど気が楽だったろう。〟 〝ペロブスカイトを使った太陽電池の性能はもっと伸ばせるに違いない。吸収する光の波長がとても広いことは測定すればわかる