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『リチャード・ジュエル』が誘う終わりのない問い イーストウッドの“悪意”を受け考えるべきこと
私たち現代観客は『リチャード・ジュエル』というアメリカ映画をどのように見たらよいのだろうか。一見... 私たち現代観客は『リチャード・ジュエル』というアメリカ映画をどのように見たらよいのだろうか。一見シンプルなテーマを持ち、ひょっとすると類いまれな感動と落涙にすらいざなわれてしまいもするこの映画に、人はするどく不審な点を嗅ぎつけ、堂々巡りの問いへと誘い込まれていく。身近な言い方を使うなら「ツッコミドコロ満載」の映画だということになる。感動的な良いハナシではあるが、ちょっと変だぞ。疑いが頭をもたげ、この疑いについての堂々巡りが始まる。 クリント・イーストウッドの映画を見るとは、この疑いの堂々巡りに巻き込まれ、それに耐える体験のことだろう。ところが、ここ日本ではイーストウッド映画は無抵抗に支持されすぎた感がある。参考として『キネマ旬報』の年間ベストテンを例に取ると、1993年に『許されざる者』が1位を獲得したのを契機として、軒並みベストテンの上位を飾り、日本で最も人気のある映画監督のひとりとなっ
2020/02/10 リンク