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『一哲学徒の苦難の道』 | 荒野に向かって、吼えない…
『一哲学徒の苦難の道』の中で、丸山眞男はこんなことを言っている。 「それから、[大学]二年生のときは... 『一哲学徒の苦難の道』の中で、丸山眞男はこんなことを言っている。 「それから、[大学]二年生のときは、いま神戸大学にいる猪野謙二と二人でひと夏勉強のために、東北の農村の寺にこもったことがあります。そのときはまた、長野県なんかともまるでちがう農村の姿を見ました。それやこれやで一方は世界に雄飛する、第一級の技術水準を誇る日本資本主義が、他方では紡績機械でさえ自給できず、しかもあんなにひどい農村の女子労働力にたよっている、そういう進んだ要素と遅れた要素の相互補強関係の歴史的由来が『講座』の分析で実に見事に解明されていると思った。政治状況からいっても、経済発展の点でも、ぴったりきたんですね」。 『講座』というのは『日本資本主義発達史講座』のことで、いわゆる「講座派」を生み、日本共産党の理論的バックボーンとなっていく。丸山は「もちろん自分はマルキシストだとは思っていなかったから、講座派と労農派のどっ
2024/05/27 リンク