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超人気棋士が抱く「将棋ソフト」への拒否感
クレームを受けるのは気が重いものである。 2015年6月のことだ。アムステルダムのホテルにチェックイン... クレームを受けるのは気が重いものである。 2015年6月のことだ。アムステルダムのホテルにチェックインするとすぐに、私はある将棋指しに国際電話をかけた。窓の外の陰鬱な天気と同様、私の心もどんよりと曇っていた。旅行中だというのに。 電話の相手は超人気棋士。私の書いた記事に気分を害しているという。事情を聞くために本人に連絡すると、受話器越しの声には刺が感じられた。 私の職業は将棋観戦記者だ。 プロの公式戦を朝から晩まで盤側に張りついて観戦し、新聞や雑誌に「観戦記」を書く。内容は記者によってさまざまで、まずは指し手の解説、そして対局の舞台背景、さらには対局者の情景描写やエピソードなどだろうか。私が特に重視しているのは、一局の流れを明確に記して、その対局がどういう将棋だったのかを読者にくっきりとイメージしてもらうことだ。そのためには、見たことを書くだけではいけない。なぜミスをしたのか、なぜその手を
2016/07/26 リンク