「久坂葉子」川崎財閥の娘がなぜ死に急いだ

作家としてとりあえず名は残した、久坂葉子、本名は川崎 澄子、1931年、昭和6年3月27日、神戸に生まれる。川崎造 船(現在の川崎重工)創業者の川崎正蔵の曾孫、父の芳熊 、その兄の武之助は元男爵、母の久子は元子爵の家の出 であった。こう書くとつまらないが、私の母の名前が久子で その妹が澄子だから、・・・まあ身分は格段以上の差である が。今生きていたら88歳である。 1949年、昭和24年8月、18歳の澄子は神戸山手高等女学校 の友人とともに六甲に住んでいた島尾敏雄を訪問、久坂葉子 のペンネームで書いた小説を持参した。 それがきっかけで富士正晴、島尾敏雄らの同人雑誌、VIKI -NGの同人となり、同誌17号に発表した「落ちてゆく世界」を 書き直い、『作品』に掲載した「ドミノのお告げ」で昭和25年、 1950年ど上半期の芥川賞候補となった、といっても選考委員 の目にはほとんどとまっていなかった