「未熟さ」と「成熟」のあいだで思案する 周東美材『「未熟さ」の系譜 宝塚からジャニーズまで』 | レビュー | Book Bang －ブックバン－

輪島裕介・評「「未熟さ」と「成熟」のあいだで思案する」 プロデューサー・秋元康自身が述べたとされる「K-POPはプロ野球、AKBは高校野球」という比喩は、現在では一種の紋切型になっている。プロの高度な技術を堪能するのではなく、技量において未完成な少年少女が、苦難に立ち向かい奮闘し、時には失敗しながら成長してゆく過程を、手に汗握って見守り、応援する、というあり方が日本のアイドル文化の特徴だというわけだ。こうした認識は日本国内に留まらないようで、実際、数年前に中国のアイドル文化における日本の影響について研究したい、という中国人留学生から、日本の影響下にあるアイドル類型として「育成系」という括りがあることを教えられた。 本書『「未熟さ」の系譜』は、現代の「アイドル」に至る「未熟さ」への偏愛のあり方が、どのような歴史的条件のもとで成立し、産業化され、メディアを通じて拡散し、意味づけられたのか、を扱

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「”男装の麗人」水の江瀧子の人工的な「男らしさ」がジャニーズの兄貴分である「タフガイ」石原裕次郎へと引き継がれた、とする指摘”