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江戸幕府の政務処理と幕藩関係
小稿は、奥右筆文書に収録される諸大名より幕府に提出された行列道具の所持願、その願い出を認めるかど... 小稿は、奥右筆文書に収録される諸大名より幕府に提出された行列道具の所持願、その願い出を認めるかどうかを記した幕府役人の評議書などを総合的に分析し、江戸幕府の政務処理の流れを復元したものであり、家斉期の幕府と藩(大名家)との関係について、次の点を明らかにすることができた。 まず、行列道具の所持願の処理過程について、大名が月番老中に提出した所持願は、月番より大目付・目付に渡され、それは両名より、願い出を認めるか否かを記した評議書とともに、月番へ返上された。行列道具の所持は、大名の家格に関わる問題であり、願い出の採否については、月番と他の老中とが大目付・目付の評議書を参考に、合議により決めていた。その際、老中が採否にあたって重視したのが、願い出を認めると他の大名に支障が出るか、という点であった。この基準があればこそ、幕府は大名に行列道具を持たせることを、その家格と序列を操作するための手段として活