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新自由主義と通俗道徳 | 岩本武和
岩本武和 (京都大学公共政策大学院/経済学研究科 教授) 2019.01.14 最近しばしば仄聞するようになっ... 岩本武和 (京都大学公共政策大学院/経済学研究科 教授) 2019.01.14 最近しばしば仄聞するようになった「反知性主義」(Anti-intellectualism)とは,厳密な定義ではないが,「知的権威やエリート主義を嫌悪し,データやエビデンスを懐疑して,皮膚感覚や直感で物事を判断すること(人)」を指す。 どこかの国の「頑張れば報われるという社会の実現にむけ尽力してまいります」という首相の演説が,典型的な事例である。「頑張れば報われる」という,分かりやすい「通俗道徳」のみに訴えていて,容易に「衆愚政治」(ポピュリズム)に転化する。 少し考えれば分かることだが,「頑張りたくても頑張れない人」,「頑張ろうとしても予期せぬ事態に直面して頑張れなくなった人」がいたり,「頑張りたくても頑張れない時」があったり…,要するに,市場経済には,「頑張っても報われなかった人」の方が,「頑張って報われる人