深刻化する少子化対策の強化に向けた政府の作業が始まった。「異次元の少子化対策」を掲げる岸田文雄首相の肝いりの政策だ。ただ、現時点で裏付けとなる財源確保策は示されておらず、説明が不十分だ。政府は財源をどうするかを明示し、国会審議に臨むべきだ。 岸田首相が異次元の少子化対策を掲げたことを受け、自民党の甘利明前幹事長が消費税増税の可能性に言及し、波紋を広げた。国民の不満を招きかねず、4月の統一地方選を控える中で政権運営の火種となる可能性もある。だからといって財源論議を回避することはできない。 岸田首相は少子化対策を最重要課題に掲げ、23日に召集された通常国会の施政方針演説では子ども・子育て政策への対応を「先送りの許されない課題」とも述べた。 そのことに異論はない。ただ、少子化問題は今に始まったのではない。2017年の推計では出生数が80万人を割るのは30年だった。それが22年の出生数で80万人を