asahi.com： 庭で暮らす人々 - 「世界のウチ」

アンデスの気候はややこしい。朝晩の気温差がとても大きく、日中は夏のようだが、夜になるとアンデスおろしが吹きすさび、真冬のように冷えこむ。そんな土地がらにぴったりなのが、古くから伝わる「カンチャ」構造と呼ばれる家の建て方だ。まわりを石か日干しれんがの壁で囲い、その内側に小さな建物をいくつか入れ込んだ作りで、寒風が家の中を吹き通らないようにする工夫である。 カンチャ構造の家には、かならず中庭があるが、これを庭と呼ぶのはちょっと気がひける。現代の家の庭といえば普通、草花を植えたりブランコを置いたりして、生活の中のゆとりをあらわす場所だと思うのだが、アンデスの場合、庭にものすごく生活臭が漂っているからだ。 アンデスの民家の庭に一歩踏み入れると、まずはその散らかりように驚かされる。私が深い共感とともにアンデスの人々の中に見いだした特質、それは「収納という観念がないこと」である。毎日必ず使うもので、少

[anhelo]

アンデス高地で晴れた日に昼から家にこもるのは病人だけ。農閑期のお父さんお母さんは、わざわざ庭に出て織物したり農具の手入れ、料理の下ごしらえをする。学校から帰った子供は日のある間に庭で宿題