神戸市：ごろごろ、神戸３「第17回 神戸鉄火巡礼」

私には、この世に生まれて来た瞬間の記憶がある。 産声を上げる事も忘れ、外界の眩しさに耐え、 この問題を解決しないと自分は先へ進めないぞと、 出てきたばかりの体をタオルで拭かれながら黙考していたのだ。 それは「ビールに一番合うつまみは何か」という問題である。 あれから四十数年。結局私はどこへも行けないまま、ある日新開地にある老舗酒場『丸萬』のカウンターで大将の包丁さばきをぼんやり眺めていた時に突然体を電流が駆け抜け、答えがわかってしまったのだ。 ビールに一番合うつまみ。それは鉄火巻である。 「大将、てっ鉄火巻ください！」 私は急いでそのように注文し、追加でビールもたのむ。 ここは大将の動きが見える特等席。漬け物をアテに、注いだビールをちびちび飲みながら、海苔にシャリを敷きマグロを隙間なく並べ、巻いた後包丁が音立ててサクッサクッと入る様子を見ながら、 私は知らず知らずのうちに涙を流していた。

[sakahashi]

鉄火巻きとビールください

[takehito-chun]

野暮の極みみたいなことを聞きますけど、これはほんとに一日ではしごしたと思っていいんですかね？ んなこたぁないですよね。

[washi-mizok]

「美味くはなさそうに撮る」技術と哲学を感じる

[smfu3590]

鉄火巻だけで結局何軒あったんだろう(数えるのやめた)。春からの神戸生活は鉄火巻で決まりだな。

[muchonov]

最後の1行がいいたかっただけでしょ！　うまそう！