白水社 :連載・エッセイ 今尾恵介「地図で読む戦争の時代」 第31回 尖閣諸島の地図を観察する

中国の漁船が尖閣諸島近海で「違法操業」していた。これを取り締まろうとした海上保安庁の巡視船に漁船が体当たりしたため、その船長を「公務執行妨害」の容疑で逮捕した。それから日中関係は目に見えてぎくしゃくしている。挙げ句の果ては希少金属（レアアース）の輸出が事実上一時ストップするなど影響が広がった。それにしても、大半の日本人・中国人ともにこんな島々を普段は何も気にかけていないのに、こういう時だけ「臨時愛国者」となり、マスコミもそれに火を付けて売り上げを伸ばそうと目論む。「戦争の時代」というテーマでここを取り上げるのも躊躇するところがあるが、戦争はいつもそんな理由で始められたりする。今となってはそう簡単に干戈（かんか）を交えることはあるまいが、「戦争の時代」とは実に密接な「領土」をじっくりと観察してみよう。 ちなみに尖閣諸島とは、最大の面積を持つ魚釣島（3.80平方km）をはじめ、すぐ近くで隣り

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第31回　尖閣諸島の地図を観察する