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『鐘の渡り』 古井由吉著 評・前田英樹(批評家・立教大教授) : 本よみうり堂 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
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『鐘の渡り』 古井由吉著 評・前田英樹(批評家・立教大教授) : 本よみうり堂 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
昨年、一昨年と『新潮』誌に書き継がれた短篇(たんぺん)小説8作を発表順にまとめて1冊にしている。... 昨年、一昨年と『新潮』誌に書き継がれた短篇(たんぺん)小説8作を発表順にまとめて1冊にしている。8作を貫く主題は、生者と死者、覚醒と夢幻の境を溶かして流れゆく時間、永劫(えいごう)の深みから生起し、反復する記憶、そして、そのなかを満ち渡る「ただ生きてあることのよるべなさ」であろうか。 文体の濃度は、恐るべきものだ。語り手と語られる人物とは強く混じり合って、区分されることを拒んでいる。語り手の言葉のなかに、語られる人物の言葉が絶え間なく侵入し、時に奔流を作る。彼らの呼吸は錯綜(さくそう)して、絡み合い、独りとも多数ともつかない話し声を、季節の移ろいのなかに響かせる。幽玄の極みを示す自由間接話法である。 書名と同じ題を持つ一篇「鐘の渡り」は、とりわけ見事なものだ。間もなく女と暮らし始めようとする篠原が、3年ばかり共に暮した女をふた月前に亡くした朝倉と、山歩きの一泊旅行に出る。篠原の視線で語られ