自分にとってのふつうとは違った形をしていて得体が知れなくて正面からまじまじと見据えるのがなかなかに堪える存在どもを人はたびたび「あちら側」に追いやる。そこには大抵の場合、嫌悪か憐憫か嘲笑かの色がつく。 そういう態度がいかにも立派だとは当然言い難いわけだけれど、それが彼らの世界とうまくやるためのせいいっぱいなのかもしれないな、とも思ったりする。 みんな、せいいっぱいでいっぱいいっぱいなんだなということが最近は想像できるようになってきた。みんな自分が一番かわいくてその次にかわいいものと次の次にかわいいものとを自分の都合で選んでる。そうして自分のかわいいものを全部抱え込むより遥か手前で気付けば両手はいっぱいいっぱいになっている。人間は優しくしたい風には優しくできない。人間は優しくしたいだけ優しくはできない。人間が優しくない生き物だとするならば、その理由は1日が24時間しかないからだ。1年でひとつ