* 痴漢、ナンパ、ストーカー。 女性の日常は様々なトラブルにさらされている。でも、それを女の子が語るとき、どこか武勇伝に聞こえてしまう。むろん、そんな軽々しいものじゃないと思う。彼女たちは本気で、傷つき悩んだ末に、やむにやまれず心情を吐露しているのだ。 僕が20代のころ、アルバイト先にそんな話題を披露するストーリーテラーがいた。彼女は定期的に、何かしらの被害にあっていて、僕はそれを聞く役割だった。 初めは、しつこいナンパに遭って、とても迷惑したエピソードだった。そのときの僕は、親切心から、彼女の服装や行動について忠告めいた発言をしてしまったのだけど、それは彼女の気分を著しく害してしまったようで、それ以降は、忠実な聞き役に徹するようになった。 僕は立場上、自分の感情より、業務の円滑な遂行を優先しなければならなかった。 彼女は、その後もだびたび被害に遭って、その都度、僕や他のみんなに、その心情