GHQの検閲を受けた「人魚の海」のゲラ。赤鉛筆で削除部分に×印が付けられ、上部に「delete(削除)」と書かれている=横手教授提供 作家の太宰治が終戦直後の45〜47年に出版した4冊の中の7作品が連合国軍総司令部(GHQ)の検閲を受け、大幅に内容を修正されていたことがわかった。検閲関連の資料を多く保存する米メリーランド大のプランゲ文庫からゲラなどが見つかった。太宰は今年で生誕100年。研究者は「戦後の太宰像を考えるうえで貴重な発見」と話している。 プランゲ文庫には、検閲のためにGHQが集めた日本の新聞や雑誌などが保存されている。約60万ページの中から、近代日本文学を研究する米ペンシルベニア州立大のジョナサン・エイブル助教授と長崎総合科学大の横手一彦教授が4〜5月、太宰関連の資料を見つけた。 横手教授によると、修正が確認できたのは「薄明(はくめい)」「新釈諸国噺(ばなし)」「ろまん燈