従来からマジョリティを占めている生き方に背を向けて、別の生き方をえらぼうとすることがある。 たとえば、女性が働きながら子供を育てようとすることであったり、男性が家庭で多くの時間をすごそうとすることであったり。 従来の価値観とは異なる価値観を許容することを社会に要求するとき、しばしば「選択肢を増やそう」という言い方がされる。 「選択肢を増やそう」ということばが伝えようとしているのは、「自分(たち)が許容してほしい価値観は、あなたたちの価値観と対立するものではないのだ、皆が自由にいろいろな生き方を選べるようになることは悪いことではないはずだ」というメッセージだ。 ぱっと見たところ、非のうちどころのない理屈に思えて、わたしもこの言い方を好んで使っていた。でも、「選択肢を増やそう」という主張が、大きな説得力をもって受け入れられた場面をあまりみたことがない。なぜだろう、ということが気になって