好景気でも自殺が増える 次に、集団本位的自殺とは何か。この類型の自殺は、デュルケームによれば近代社会にはほとんどありません。しかし、伝統社会にはよくある。 たとえば、殉死です。主君に殉じるとか、あるいは宗教的な理由での集団自殺などがあります。崇拝する他人のためとか、集団の大義のための、しばしば義務的な自殺を、集団本位的な自殺と呼びます。 現代にはあまりないが、軍隊においてのみ稀に見られると、デュルケームは書いています。 個人または集団に準拠した自殺を挙げたわけですから、これで論理的な可能性は尽きるように思いますが、デュルケームはこれら2つに、もう1つアノミー的自殺を加える。ある意味で、これがいちばん重要です。これが考えどころになります。 「アノミー(anomie)」はデュルケームの概念です。いまではふつうに使われる言葉になりましたが、これを社会学の中に入れたのはデュルケームが最初です。後で