8月4日に起きたベイルートでの爆発事故。翌日、現場付近へ向かった。被害の大きかったジュマイゼ地区はまるで大地震や、巨大台風が過ぎ去った後、あるいは戦場の光景を思い起こさせた。人々の生活の匂いが一気にぶち壊された状態なのだ。ベイルートのベテランジャーナリストが「いろんな戦場を見てきたが、こんなにひどい光景はみたことがない」というのも聞いた。 レバノンの爆発事故に関する報道はすでに多く出ているので、ここでは爆発事故前のレバノンはどういう状況だったかについて説明したい。誰もがいうのが、レバノンは昨年末からの経済危機にコロナ禍でもうすでにどん底の状態だったのが、爆発事故でトドメを刺されてしまったということだ。経済活動の多くを担う港を失い、繁華街を失った。この中東の小国に十分すぎるほどの厄災が降りかかっている。 レバノンとはどんな国? レバノンの人口は680万人、面積は岐阜県くらいの中東の小国だ。