筆者が「中国株式会社」について書き始めてから、もう4年になる。外務省退職後、ある国際シンポジウムで面白い米国人に出会ったことがきっかけだった。 実にエネルギッシュなその初老の男、以前は有名な米投資銀行のアジア担当副社長だったそうだ。 10年ほど前は東京にも駐在していたが、今では独立し対中投資一本で手広くやっているという。 「本当に儲かるのか、中国は昔の日本株式会社と同じではないのか、規制が多くて大変だろう」。思わず筆者はその経験豊富な銀行家にこう聞いてみた。 答えは予想外だった。「とんでもない、中国は自由だ、規制が多いのはむしろ日本の方だ」と譲らない。そんなはずはない、こう思って筆者は畳みかけた。「共産党の統制は金融にも及んでいるはずだ、中国に自由な経済市場などあるわけがない」 彼の言い分はこうだ。確かに中国にも規制はたくさんあるが、規制のない分野では米側が提案する新金融商品をどんどん認可