三重県名張市で1961年、農薬入りのブドウ酒を飲んだ女性5人が死亡した「名張毒ブドウ酒事件」の第7次再審請求で、最高裁は、殺人などの罪で死刑が確定した奥西勝死刑囚(84)の再審を認めるべきかどうかの判断を改めて名古屋高裁に差し戻す決定をした。5日付。第三小法廷(堀籠幸男裁判長)は「犯行に使われた毒物の解明について、審理が尽くされていない」と述べた。 いったん認められた再審開始と死刑の執行停止を取り消した名古屋高裁の決定を、改めて取り消した形になる。事件発生から半世紀。最終的に再審を認めるべきかどうかは、毒物の成分をめぐる科学論争に絞って、さらに同高裁で審理が続くことになった。 事件は61年3月、名張市の公民館で開かれた会合で、ブドウ酒を飲んだ女性5人が死亡、12人が中毒症状を起こした。妻と愛人との三角関係の清算をねらい、ブドウ酒に農薬を入れて殺害したとして奥西勝死刑囚が逮捕された。一審