「僕ね、もう我慢できなかったんだよ」。今春、福岡県内の小学校を卒業した義人(12)=仮名=は、幼さの残る瞳をクリクリさせ、そう話すのがやっとだった。 卒業を控えた3月中旬、転校してきて間もなく1年になろうとしていた。放課後の校庭で遊んでいると、4年生2人に囲まれはやし立てられた。「やーい、キモロンゲ!」。気持ちの悪いロン毛(長髪)という意味の、義人が1番気にしている「あだ名」だった。 肩に届くお気に入りの長髪。毎日洗髪を欠かしたことがなかったが、かねてからの悪口に耐えかね、ばっさり切り落としていた。にもかかわらずの中傷に、いつもはおとなしい義人もこの日は言い返した。殴りかかってきた相手ともみ合いになり手の骨を折った。 「家に帰って泣くばかりで…。学校の話などから初めて状況を知りました」と母親。義人はその後、不登校になり卒業式も欠席した。嫌がらせは半年ほど前から始まっていたことが分かった。