2010年7月27日、浙江省麗水市逐昌県の県公安局は、週刊経済情報紙「経済観察報」の記者“仇子明”を商業上の名誉棄損により公安警察のインターネットを通じて全国に指名手配した。仇子明は遂昌県で唯一の上場企業である“浙江凱恩特殊材料股份有限公司”(株式コード:002012、略称:凱恩股份)<注1>に関する不正取引の内幕を告発する記事を「経済観察報」に2回にわたって掲載したのだった。それは2010年6月7日付の「凱恩股份の天を欺く事件」と6月21日付の「凱恩股份を再調査、隠された不正取引」という2本の記事であった。 <注1>“股份”は株式、“股份有限公司”は株式会社。 2010年5月上旬、仇子明はある筋から凱恩股份を傘下に持つ“凱恩集団”の実質的経営者である王白浪が、もともと国有企業であった同集団を民営企業に組織変更する過程で、国有資産を詐取し、国有地を横領し、2004年7月に深セン証券市場に上