シネマコンプレックス(複合映画館、シネコン)の台頭と、巨額の設備投資を必要とする映画のデジタル化により、ミニシアターと呼ばれる中小映画館が年々減り続ける中、キネマ旬報社(東京都港区)と武蔵野興業(同新宿区)が、200席足らずの映画館を新たにオープンする。果たして勝算はあるのか。 (井上喜博) キネマ旬報社は貸会議室大手ティーケーピー(TKP、同中央区)と組み、来年三月、千葉県の柏駅ビル内に三スクリーンからなる「TKPシアター柏 supported by KINEJUN(仮称)」をオープンさせる。今年三月に閉館した旧「柏ステーションシアター」をTKPが東武鉄道から賃借し、キネマ旬報社が運営する。 映画雑誌の老舗が劇場運営に乗りだす背景には、現状に対する危機感がある。雑誌の読者の多くは年間五十本以上の映画を見るコアなファンだが、シネコンが興行の中心となったため、多様な作品を鑑賞する機会が失われ