ハーバード大生のマイクは、自分の努力が報いられる「能力主義」のシステムが理想だと言うが……。ハーバード白熱教室・能力主義篇①(全2回) 勝者に課せられるもの サンデル 今日は、分配の正義[分配的正義、distributive justice]の問題に取り組みたい。私たちはどんな原理に従って、富や権力、機会を分配するべきか。ジョン・ロールズはこの問いに詳しく答えている。今日はその答えを検討しよう。 前回私たちは、その取っかかりとしてロールズのある考え方を学んだ。 「正義の原理は、仮設的契約から最もうまく導かれる」というものだ。肝心なのは、その仮設的契約は、ロールズが「無知のベール」(veil of ignorance)と呼ぶものの背後にある平等な原初状態の下で実現されるということだ。ここまではいいかな。 では、次に進もう。ロールズの言う「無知のベール」の背後で人々が選ぶ原理とは何だろうか。
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