“フォントデザイナー”という職業をご存知だろうか。いわゆる「書体」をデザインする仕事である。文字というパーツの性格上、グラフィックデザイナーやWebデザイナーのように表に出ることは少ないかもしれない。ゆえにその仕事ぶりやキャリアプランなどベールに包まれているのも事実。しかしテキストコミュニケーションの主役たる「文字の意匠」は、一生を賭するに値する仕事だ。金属活字からデジタルデータへとプラットフォームが進化しても、変わることなくデザインや広告出版の現場から求められる要職でもある。今回はフォントワークスの越智さんに“文字をデザインする”仕事の実態について語ってもらった。 きっかけはインターン先で手にした一冊の本 ―フォントデザインという仕事と出会ったのは? 美術系大学3年生のとき、インターンシップ先のデザイン事務所で読んだ『文字をつくる9人の書体デザイナー』という本で知りました。最初は興味本位