太平洋戦争が始まると、圧倒的に不足する軍用資材を補う「金属回収」の主たるターゲットに、各地の寺院がなった。その最大の犠牲になったのが、梵鐘である。 慶長年間以前(1615年以前)の文化的価値のある、わずかな鐘を除いて、4万7000口(全体の9割以上)もの梵鐘が武器になっていった。その中に、大阪の四天王寺にあった世界最大の梵鐘も含まれていた。 ほとんどの梵鐘が消えた 「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」 平家物語の冒頭にも描かれているように、梵鐘は寺院(精舎)を象徴する仏教アイテムである。だが、近年は鐘を撞かせてもらえるお寺が本当に少なくなった。近隣からの「苦情」のせいだ。 除夜の鐘も「やかましくて寝られない」とのクレームで、中止を余儀なくされるケースも出てきている。都市化によって「地域の寺」の概念がなくなってきているのは、残念なことだ。 しかし、寺の鐘の音が響く世の中は、平和である証な
