バルセロナを訪れた時、まず目を引かれたのが、看板や標識に英語、スペイン語に加えてもうひとつ表記があること。カタルーニャ語だ。経済・文化ともに独自の道を歩んできたカタルーニャ自治州は自治の気運が高く、彼らのアイデンティティーのよりどころの一つがカタルーニャ語である。 とはいえ正直、日本人には遠い話で、言語としてもマイナー。そんな言語の専門家として辞書の編纂から日本文学のカタルーニャ語翻訳、さらにカタルーニャ語で小説も出版するというすんごい業績を積み上げたのが本書の著者だ。そもそも銀行員だったというのにも驚くが、駐在したスペインでの出会いや学びをきっかけに、着実に歩んできた人生を振り返った一冊だ。 一般的にマイナーな言語は人気がない。学んでも仕事がなくカネにならないからだ。だが著者は、マイナーだからこそ市場独占のチャンスがあると(このへんが銀行員ぽい)、目標を積み上げ一つ一つクリアしていく。ご